コロナ対策「巨額補正予算」のツケ 東日本大震災後は「復興特別税」導入したが...

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中長期の財政規律

   本来の経済原理では、国債を大量に発行し、買い手の需要に比べ供給が多くなると、価格は下がり、利回りは高くなる。高い金利を付けないと買ってもらえなくなるという理屈だ。だが、現実に日本の長期金利は0%前後で安定している。それは日銀が国債を大量に買っているからだ。

   財政法で日銀は国の発行する国債を直接買うこと(直接引き受け)は禁じられている。しかし、市場ですでに発行されている国債を売買することはできる。景気が悪い時に、日銀が国債を、保有する銀行などから市場で買うことで、民間に資金を供給し、経済活動の活発化を目指す。ただ、日銀は第2次安倍政権発足後、デフレからの脱却のためとして巨額の国債を買い続け、今や発行残高の半分近くを保有するという異常な状態になっている。デフレ脱却が達成できない中でのコロナ禍の拡大で、さらに国債買い増すこととし、4月27日の金融政策決定会合で、「年約80兆円」としていた国債購入の目安を撤廃した。これにより金利上昇を抑え込んでいるが、「政府が安心して国債を追加発行できる条件整備」(エコノミスト)とされ、実質的な財政ファイナンス、つまり禁じられている直接買い入れと同じとの指摘もされている。

   補正予算の国債発行で金利が跳ね上がるようなことがあれば、経済対策の効果を打ち消しかねないので、日銀の対応も、非常時としてやむを得ないとの見方も多いが、問題は、その先の中長期の財政規律をいかに回復させるかだ。

   この点で、安倍政権はこれまで、消費税率引き上げを2度延期し、昨秋にやっと10%に引き上げたように、財政再建にあまり熱心ではないとの見方が強い。実際、増税や厳しい歳出カットなど「痛み」ではなく、経済を成長させ、税収を増やすことを財政再建の柱と位置づけ、成長戦略などを繰り返し打ち出してきた。

   安倍政権は、例年6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針2020)を7月半ばに、2021年度予算の概算要求のとりまとめを例年より1カ月遅い9月末に延ばし、当面、コロナ禍の動向をにらみながら、慎重に議論する構えだ。東日本大震災後の復興財源では法人税や所得税に一定割合を上乗せする「復興特別税」を導入し、所得税は今も続いている。今回、どのような手法を導入するか、議論の行方はまだ霧の中だ。

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