マイナンバーカードに、運転免許証の機能を盛り込むとの計画が報じられた。
新型コロナウイルスの経済対策としての特別定額給付金(一律10万円給付)で一躍注目をあびたマイナンバーカード。銀行口座ひも付けなども話題になるなか、政府は機能強化による普及を目指している。マイナンバー制度、そしてカードは、どこへ向かっているのだろうか。
年内に工程表を策定
政府は2020年6月23日、マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキング・グループ(WG)の初回を開いた。行政のIT化に向け、菅義偉官房長官を議長に進める「デジタル・ガバメント閣僚会議」のもとに設置されるWGで、有識者をまじえて議論する。同日午前の菅氏会見によると、カード普及のための方策や、自治体業務システムの統一・標準化などを話し合い、年内に工程表を策定するとしている。
運転免許証の機能を盛り込む案が出たのは、この初回WGでのことだ。各種報道によると、加えて国家資格証や外国人在留カードも一体化し、将来的なスマートフォンとの連携も検討されたという。
政府が一体化を進める背景には、マイナンバーカード普及率の低さがある。首相官邸サイトに掲載されている、20年6月5日の閣僚会議資料によれば、累計交付枚数は5月末時点で2133万。1日あたりの申請(月平均)は4月の2万8416から、倍増(5万6427)しているが、人口に対する交付率は16.7%。なお、5月末までの申請受付は20.2%となっていて、特別定額給付金や、7月から受付開始される「マイナポイント」事業の影響が見て取れる。しかしながら、国家公務員であっても、申請・取得率は58.2%にとどまる。
昨年12月の閣議決定では...
一体化による利点は、持ち歩きが楽になることにある。すでにマイナンバーカードは、21年3月から健康保険証として使える予定となっていて、運転免許証なども1枚で済むようになれば、利便性は増すだろう。健康管理でいえば、「お薬手帳」の機能も盛り込まれる予定だ。
19年12月20日に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」での、マイナンバーカード活用の工程表には、教員免許状や、障害者手帳のデジタル化、taspo(タスポ)対応自販機の順次入替なども描かれている。WGでの議論も、これらを下敷きにしたものになるだろう。
機能が盛り込まれれば、盛り込まれるほど、紛失時のリスクは高まる。日常生活での身分証明書に使おうにも、券面に印字されている12ケタのマイナンバー(個人番号)を知られないよう、十分配慮する必要がある。
政府は22年度末までに、約1億1000万枚の交付を計画している。残り2年半で5倍増という高い目標に「一体化」は寄与できるのだろうか。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)