「分科会も、議事録ではなく、発言抜粋の議事概要を作る」
西村氏の会見での説明によると、専門家会議は、新型インフルエンザ対策特別措置法で明確に位置づけられていなかったため、新たに同法に基づく有識者会議の分科会を7月上旬にもスタートさせる。
ワクチン接種の優先順位なども議論するため、感染症の専門家のほか、自治体の首長や危機管理の専門家も分科会メンバーに選ぶという。
専門家会議は、議事録が作られていなかったことが問題になり、政府は、議事概要に発言者と発言内容を盛り込むと方針変更した。分科会についても、西村氏は、「それを踏襲したい」と会見で明らかにした。
ニュースサイトのコメント欄やツイッター上などでは、文言削除なども政治的判断だと理解を示す向きもあったが、政府の対応に疑問や批判の声が多い。
「政府の言うことを聞かない専門家会議は不要ということ」「政府が意見を封じたら、専門家の意味が無い」「第2波対策こんなんで大丈夫なんですかね?」などと書き込まれている。中には、議事録を作らなかったのは、政府の文言削除などが分かるのを恐れたからではとの憶測すら出た。
クルーズ船感染の告発で話題になった神戸大学の岩田健太郎教授は、専門家会議の廃止などについて、ツイッターで「愚かな。また科学を政治化するのか」と疑問を呈した。別の医師が「政治家寄りのメンバーが集められるんでしょうね。経済中心の感染対策となり、また感染が拡大する」とツイートを寄せたのに反応し、「誠実に科学的な議論をするよりも『どうしたら政治家や官僚に文句を言われないか』を基準に議論がされる」と懸念していた。
内閣官房の新型コロナ対策推進室では6月25日、岩田教授らの指摘について、「分科会を設置するのに、そのような意図はありません」とJ-CASTニュースの取材に答えた。ただ、分科会でも作る議事概要は、議事録とは違い、メンバーの一言一句すべてを載せるものではなく、発言を抜粋する形になるとした。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)