どこを「歪曲」したのかは語らず
回顧録は総じて韓国側が北朝鮮との融和路線に前のめりになっていたことを改めて示す内容だが、韓国側は猛反発している。大統領府(青瓦台)の尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は6月22日の記者会見で、回顧録について
「韓国と米国、そして北朝鮮の首脳間の協議内容と関連した状況を独自の視点で見たことを明らかにしたものだ。正確な事実を反映していない。また、かなりの部分の事実を大きく歪曲している。政府間の相互信頼に基づいて協議した内容を一方的に公表することは、外交の基本原則に反するもので、今後の交渉に深刻な打撃を与える可能性がある」
などとする鄭氏の談話を発表している。尹氏は「青瓦台」の立場としても、
「朝鮮半島の平和と南北関係発展に関する韓米首脳間の率直で建設的な協議内容を自分の偏見と先入観に基づいて歪曲した」
など回顧録の内容を非難した。脱北者団体によるビラ散布問題で、北朝鮮が開城(ケソン)工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破するなど、南北関係も冷え込んでいる。そういったなかに悪材料が加わった形で、韓国としては強く反応したとみられる。ただ、声明では個別具体的な反論はしておらず、どこを「歪曲」と主張しているのかは明らかではない。
こういった対応には、
「どこからボタンをかけ間違えたのか、何が誤ったのかを確認して見直すのが正しい」(中央日報社説)
といった、韓国政府のさらなる説明が必要だとする声も出ている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)