「高山は本当にタフだった」
途中、大きく腫れあがった高山の左目にドクターチェックが入る。試合が再開されるとリング中央で再びド突き合いが始まった。そして高山がニュートラルコーナーにフライを詰めたところにフライが高山を浴びせ倒し、マウントポジションを奪った。フライは顔面、頭部を乱打し高山の反撃を許さない。最後はフライの右が高山の顔面を捕らえたところでレフリーが割って入り、壮絶なド突き合いに終止符が打たれた。
試合後、リング上には「勝者」も「敗者」も存在しなかった。観客は総立ちで2人のファイターを称え、リング上で高山がフライの右腕を高く上げた。フライは濃密過ぎる6分間をこう振り返った。
「高山は本当にタフだった。これまで戦ってき選手の中で最もタフだった」。
高山に対する最大級の賛辞だった。
当初、フライと対戦する予定だったマーク・コールマンのケガによる欠場で、大会1週間前に高山の代理出場が決定。後に高山がこの試合が大きな転機となったと振り返るように、フライとの一戦は日本の格闘技の歴史に大きな爪痕を残した。