プロ野球公式戦が2020年6月19日、セ・パ両リーグで開幕した。セ・リーグではリーグ連覇を目指す巨人が東京ドームで阪神を迎えて3連戦。開幕戦はエース菅野智之投手(30)が先発のマウンドに上がり阪神を3-2で破り、第2戦、第3戦を取って3連勝を飾った。
阪神との開幕同一カード3連戦での3連勝は史上初。開幕カードで両チームの明暗を分けたものは...。J-CASTニュース編集部は、巨人の元戦略コーチ・橋上秀樹氏(54)に分析してもらった。
最大のポイントが開幕戦の7回裏の攻防
橋上氏がこの3連戦で最大のポイントと指摘するのが、開幕戦の7回裏の攻防だ。阪神は好投を続けていた先発・西勇輝投手(29)から岩崎優投手(29)への継投策を取った。これに対して巨人ベンチも動いた。小林誠司捕手(31)に代打を送り、打席には石川慎吾外野手(27)が入った。
石川がベンチの期待に応えライト前に運ぶと、ここでも巨人ベンチが動く。石川の代走に増田大輝内野手(26)を送り込み、菅野の代打に湯浅大内野手(20)を起用。湯浅がきっちりと送りバントを決め1死2塁の場面で吉川尚輝内野手(25)がインコース低めのストレートをライトスタンドに叩き込み逆転2ラン。これが決勝点となって巨人が開幕戦を飾った。
「7回の場面で阪神ベンチは勝利の方程式として岩崎投手をマウンドに上げました。西投手の続投という選択肢もあったでしょうが、西投手は100球近く投げていましたし、岩崎投手の方が確実に抑えられると判断したと思います。対する巨人は代打の石川選手がヒットを打って、同じく代打の湯浅選手がしっかりと送った。原監督の采配が次々はまって吉川選手のホームランです。阪神の采配は間違ってはいないと思いますが、野球は結果の世界。ベンチワークの差が出たと思います」(橋上氏)
「バースの再来」には「助っ人として及第点を与えられない」
両陣営の采配とともに明暗を分けたのが、外国人助っ人だろう。巨人はヘラルド・パーラ外野手(33)、阪神はジャスティン・ボーア内野手(32)が新加入。開幕戦ではパーラが「7番・ライト」、ボーアは「4番・ファースト」でスタメン出場し、そのプレーに注目が集まった。
堅実な打撃がウリのパーラは開幕戦で内野安打を記録すると、第2戦に来日第1号。第3戦では2号2ランを放ち、チームの3連勝に大きく貢献した。一方のボーアは開幕から12打数無安打といまだ快音なし。そればかりか、3度の満塁でもすべて凡退し、「バースの再来」の片りんは見えてこない。
橋上氏は「巨人との3連戦を見た限りでは」と前置きし、ボーアの打席を次のように分析した。
「ストライクゾーンの違いや日本人投手にまだ慣れていないのかもしれませんが、球に全く反応出来ていないという印象です。巨人はスコアラーらによってボーア選手を分析していると思います。高木投手の投球内容も良かった。ボーア選手は左投手に弱いと言われますが、3連戦をみると左右関係なく振れていない。スイングもそれほど速いとは感じませんし、スピードにもついていけてないように思えます。現時点では助っ人として及第点を与えられないでしょう」(橋上氏)
「今シーズンを左右しかねない試合だった」
巨人は開幕3連戦で3人の先発投手に勝ち星が付き、打線も21得点と波に乗っている。唯一の不安材料は、第2戦で中継ぎとしてマウンドに上がったチアゴ・ビエイラ投手(27)くらいか。そのビエイラは登板翌日の21日に出場登録抹消となっている。一方の阪神は課題である得点力不足を露呈し、伝統の一戦で屈辱の3連敗となった。
「開幕戦で菅野投手に勝ち星が付いたのは巨人にとって大きいでしょう。開幕戦の結果次第では、その後の2試合の結果も変わったと思います。それだけ大きな白星でしたし、両チームにとって、今シーズンを左右しかねない試合だったと思います」(橋上氏)