人工知能(AI)やビッグデータなどを活用した先端都市「スーパーシティ」構想を実現する改正国家戦略特区法が今の国会で成立した。政府は今夏以降、構想の実現に取り組む自治体を公募し、年内にも5地域程度を選定する。
しかし、個人情報の取り扱いに懸念も根強く、住民合意をどう確保するかなど課題は残ったままだ。
未来都市から観光都市、防災拠点まで
スーパーシティ構想は、住民や企業、行政から集めた様々な分野の情報を「データ連携基盤」(都市OS)に集約し、AIなどの最先端技術で連結させ、サービスにつなげるもの。自動運転やキャッシュレス決済、遠隔医療、遠隔教育、小型無人機ドローンによる自動配送などを組み合わせ、その相乗効果で住みやすい街をめざす。
名前からイメージされる「未来都市」だけでなく、観光都市での活用や高齢化が進む地域での医療・介護支援、大規模災害時に物流や自立エネルギーを確保できる防災拠点の整備などへの活用も想定されている。
特区の指定を受けた自治体は国や民間企業と「区域会議」を設け、必要な規制緩和を含む事業計画書を作成。住民の同意を得た上で国に申請する。複数の分野や省庁にまたがる規制改革をまとめて実現できるよう、自治体の提案に基づき、首相が担当大臣に検討を要請できる。こうした新たな手続きの導入で迅速に改革を進めるという、特区の一種になる。