大手鉄道会社では、利用者の便宜のためにスマートフォンアプリを提供している。アプリを利用して素早く乗りたい列車の遅れや混雑状況までも調べられるようになった。
昨今の新型コロナウイルス対策でこれらのアプリへの注目が集まっているが、それだけにとどまらない「鉄道アプリ」の機能をみてみたい。
導入進む「リアルタイム」混雑状況
関東の大手鉄道会社(JR東日本・東武・西武・小田急・京王・京急・京成・東急・相鉄・東京メトロ・東京都交通局)は皆アプリを提供しているが、各社に共通している基本的ともいえる提供情報は、運行状況・時刻表・駅情報、そして列車の在線状況・遅延状況だ。しかしそこから先は、各社の違いが見えてくる。新型コロナ対策で昨今、鉄道の混雑を避けようという乗客が増えているが、混雑状況の配信に積極的な鉄道はすでに存在した。JR東日本では2018年から山手線で既に混雑状況をアプリで配信できるようになっていた。同社ではこのリアルタイム混雑状況提供サービスを7月から関東の主要路線にも拡大する予定である。
この他東京メトロ・東武・東急・小田急・京急・都営地下鉄が列車の混雑状況をアプリで確認できるようになっている。駅の混み具合の方もJR東日本・東急・京急・小田急・相鉄でリアルタイムの確認が可能だ。都営地下鉄でも駅の混雑状況が確認できるが、こちらは平均的な混み具合を図示したものでリアルタイムのデータではない。東京メトロでは渋谷駅などでリアルタイム混雑状況の提供が進みつつある。
そもそもリアルタイムで混雑を把握できるようになったのは、かかる荷重でおおよその乗車人員を計測できる機能に対応した車両の増備が進んだせいでもある。山手線は車種がE231系(2020年現在は引退)・E235系に限定されているため導入が容易だった。車両の更新が進めば、対応線区も広がっていくだろう。
その他、運行状況に関するアプリ機能で特徴的なのは、京急電鉄の「ゆったり電車で行こう」機能である。混雑する最速の快特にこだわらず、普通列車やエアポート急行での所要時間などを検索できるサービスだ。
運行状況や混雑に強いJR東日本に比べると、私鉄は沿線ユーザーへのリターンを意識したサービスをアプリにつけることが多い。東急電鉄は早朝に乗車するとポイントが還元され、クーポンになる「グッチョイクーポン」を導入(現在新型コロナの影響で中断)、京王電鉄もポイント機能が充実している。