都知事選の投票所に「鉛筆持参OK」 コロナで特例?ボールペンは?選管に聞いた

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   選挙戦に入った東京都知事選でも新型コロナウイルス感染症への対策が求められている。

   都選管の知事選特設サイトには、対策の報告や有権者への「お願い」などが載っており、投票所でのマスク着用のほか、「有権者が持参した鉛筆を使用することができます」との記載がある。ボールペンでも大丈夫なのか、そもそも従来の選挙では筆記具の「持参」は可能だったのか、都や都内のいくつかの区市町村の選挙管理委員会に確認した。大枠ではほぼ同様の対応だが、微妙な表現の違いも見受けられた。

  • 筆記具は持参する?(画像は、2016年4月に都内で行われた18歳選挙権啓発イベントでの模擬投票風景)
    筆記具は持参する?(画像は、2016年4月に都内で行われた18歳選挙権啓発イベントでの模擬投票風景)
  • 筆記具は持参する?(画像は、2016年4月に都内で行われた18歳選挙権啓発イベントでの模擬投票風景)

総務省も「持参した筆記具を使用させること」に言及

   都知事選は2020年6月18日告示、7月5日に投開票される。都選管の都知事選特設サイトをみると、投票所での「感染・まん延防止」への取り組みを報告している。

   実施する対策としては、投票所や期日前投票所にアルコール消毒液を設置することや、投票所スタッフらのマスク着用、投票所内の換気(常時開放や定期的な実施)などを挙げている。有権者への「お願い」では、投票の際のマスク着用や来場前・帰宅後の「手洗い等」、周囲の人との「距離の確保」に触れている。

   また、投票の際に候補者の名前を書く時に使う筆記具については、次のように報告している。投票所では、記載台や(各選管が用意した)鉛筆など「不特定多数の方が触れる箇所は、定期的に消毒を実施」。また、「有権者が持参した鉛筆を使用することができます」と、持ち込みも可能だとしている。

   選挙の投票と新型コロナ対策や筆記具対応については、総務省が3月4日に各都道府県選管に出した通知(技術的助言)でも、「持参した筆記具を使用させることなど(略)選挙人(編注:有権者)の不安感を解消できるような工夫について積極的に検討すること」と指摘していた。

ボールペンの場合、「文字がにじんだり、投票用紙同士が接着する恐れが...」

   「持参した鉛筆(を使用可)」について特設サイトで言及した都選管に話を聞くと、「ボールペンを持参しても良いのか」などの具体的な対応については、各区市町村選管が管理する内容とのことだった。そこで、都内のいくつかの区市町村の選管にも確認した。

   都内で人口が最大の世田谷区の選管によると、有権者に郵送する知事選の投票所入場整理券の裏面に、鉛筆を持参できることや、「ボールペン(特に水性)」の使用は、「インクがにじむ可能性があるため推奨はしませんが、ご使用いただいても構いません」と注記し、区のサイトでも公表している。

   従来の選挙では、こうした筆記具持参に関する注記は特段行っていない一方で、実際に投票所で持参した筆記具の使用を希望する有権者がいた場合は、いったんは備えつけの鉛筆使用を「お願いできませんか」と声かけした上で、応じてもらえない場合は使用を認める運用をするよう、投票所の現場スタッフに周知していたそうだ。

   また、新宿区サイト(区選管のコロナ対策、6月6日更新)をみると、「消毒済みの鉛筆をお渡しします(鉛筆やシャープペンシルをご持参いただいても構いません)」とある。さらに、注記として「鉛筆・シャープペンシルを推奨しております(投票用紙は樹脂でできており、乾きにくい性質があります。ボールペン・水性ペン等では、インクで他の投票用紙が汚れたり、文字がにじんだり、投票用紙同士が接着する恐れがあります」と説明する一方、「但し、鉛筆以外の筆記用具を拒否するものではありません」とも言及している。樹脂を原料とする投票用紙は約30年前から普及し始め、既に全国の都道府県選管で導入されている。

   一方、豊島区サイト(選挙に関するよくある質問)では、「個人の鉛筆・ボールペン(油性の黒または青色ボールペン)」の使用ができるとするだけでなく、「水性の筆記具、黒または青色以外の筆記具の持参はご遠慮ください」と具体的な色に言及し、利用可能な筆記具を限定している。

   他にも八王子市や(西多摩郡)瑞穂町の選管にも話を聞いたところ、基本的には同様の対応(筆記具の持ち込みOK。鉛筆が望ましいが、ボールペンなどを拒否する訳ではない)を取るとのことだった。ただ、選管によっては、筆ペンを使おうとする有権者がいた場合は、投票用紙同士がくっつく恐れがあるため、使用を避けて(選管が用意したものを含む)他の筆記具を使うよう促す、とするところもあった。

「鉛筆共用とか、リスクあるよね」と心配する人も

   総務省によると、投票時の筆記具の種類や持参の可否については公職選挙法上の規定は特になく、従来から具体的な運用は各区市町村選管が定めていた。ただ、今回の新型コロナ感染拡大をうけ、先に触れた3月4日の通知では「持参した筆記具を使用させる(などの工夫)」に言及した。

   都知事選と「投票所での筆記具」については、6月に入ってツイッターで「同じ鉛筆を使うことがきっかけで万一感染爆発が起きたらどうするつもりなのか」「鉛筆共用とか、リスクあるよね」と不安を吐露する人も見受けられた一方、「マイ鉛筆は許されるのかな?」「マイ鉛筆持参しよ」と、筆記具持参に言及するツイートもあった。

   なお、先に触れた都選管の知事選特設サイトでは、投票所の混雑緩和のため、「期日前投票のご利用もお願いいたします」とも勧めている。期日前投票をする際には、その事由(理由)を説明(文書記載の選択肢の中からチェックするなど)する必要があるが、総務省は3月4日の通知で、「新型コロナウイルス感染症への感染が懸念される状況」は、公選法上の規定のひとつ(編注:天災又は悪天候により投票所に到達することが困難)の事由に該当し、「期日前投票を行うことができると解される」との見解を示している。要するに、「新型コロナ感染が心配なので、混雑を避けるために期日前投票をする」のは可能だ、ということになる。投開票日当日の投票所での混雑が心配な人は、期日前投票を検討すると良さそうだ。

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