「小池百合子氏のアラビア語能力は高い」 元外務省の通訳者がツイートした理由

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新谷氏のnote「小池都知事のアラビア語力をどう評価したらいいのかわからない方へ」全文(1)

   小池百合子氏のアラビア語力は高い、というツイートをしたらバズりましたので、アラビア語の世界をもう少しご紹介しましょう。

   ツイートしたように、知事はアラブ人と普通に政治経済の議論ができ、日常的(頻度は少ないでしょう)にそれを行い、かつ、接する人にその言葉が流暢であると評価されています。政治的に物議を醸しているこの問題についてあえてツイートした理由は、この事実が現在重要であるにも拘わらず、逆の風説が流布していることについて、正義を欠くと考えたからです。私は、政治家小池百合子に期待をしていますが、そのことが、同氏のアラビア語能力についての私のこの評価に影響を与えているということはありません。政治的な意見を言う前に、私にとっては自らの職業上の倫理を守ることと信用の方がよほど大切だからです。

   話す力と理解する力(ヒヤリング力)

   語学は、一般に「読み・書き・話し・理解する」という4つの能力をバランスよく身に着ける、ということが標榜されます。次にお話する知事のアラビア語についての私の評価は、主に、「話す」と「理解する」という2点についてのものです。知事が読んだり、書いたりするところを目撃したことはないからです。

   私がツイートしたエピソード:知事はアラブ人の賓客と直接会話し、齟齬が発生することはない、という事実は、カイロを離れて半世紀近くになるにも拘わらず、知事が話す力と理解する能力を保持していることを示唆しています。このツイートを私のFBページ上でも開示したところ、同僚のA.モーメン東海大学教授が彼自身の評価を寄せてくれました。同教授はエジプト出身で、日本人より日本語が上手と言ってよい言語学者です。彼は小池知事の通訳として動員されたときの経験を踏まえて、知事は「使用語彙」に比べて「理解語彙」が遥かに多い、と指摘しています。曰く、「(人には『使用語彙』と『理解語彙』があるが、通常、)『使用語彙』は『理解語彙』に比べて3割少ない。つまり、言語を使いこなすには、使用語彙以上に理解語彙の方が重要である。知事の場合は、使用語彙より理解語彙の方が圧倒的に高い。小池知事の2003年の環境大臣の時代からこれまで公式や非公式の幾度無くの場において知事のアラビア語に接した当方の評価では、『アラビア語を話せる』というレベルを遥かに超えていることは間違いない」と述べています。

   このことを易しく言い換えると、知事はアラビア語を日常的に話す、という環境からは何十年も離れているので、咄嗟に普段使わない単語が出ない状態になっているが、一度アラビア語はマスターしているため、聞く分には問題なく理解している、ということになります。

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