「寄付するのが真のサポーター」の風潮「望まない」 J2大宮・水戸に「チケット払い戻し」の本懐を聞いた

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   「『寄付するのが真のサポーター』という風潮は望んでおりません」。サッカーJ2・大宮アルディージャや水戸ホーリーホックが、開幕前に販売していた「シーズンチケット(シーズンパスポート)」の払い戻し対応をめぐって発信したメッセージが、サポーターの共感を呼んだ。

   新型コロナウイルス感染拡大防止のため中断していたJリーグは約4か月ぶりの再開が決定したが、無観客試合(リモートマッチ)や観客数を制限した試合から始める。開幕前に販売していたシーズンチケットだが、多くのクラブが払い戻し対応をすることを発表。一方、払い戻し金をそのままクラブに寄付するというサポーターの動きもある。クラブにとってはありがたい申し出と思われるが、冒頭のメッセージを出した理由は何なのか。その1行には、さまざまな思いが込められていた。

  • 大宮アルディージャの6月13日付リリースの一部(赤い下線は編集部)
    大宮アルディージャの6月13日付リリースの一部(赤い下線は編集部)
  • 水戸ホーリーホックの6月15日付リリースの一部(赤い下線は編集部)
    水戸ホーリーホックの6月15日付リリースの一部(赤い下線は編集部)
  • 大宮アルディージャの6月13日付リリースの一部(赤い下線は編集部)
  • 水戸ホーリーホックの6月15日付リリースの一部(赤い下線は編集部)

「あくまで皆さまのご判断を大事にしていただければ幸いです」

   Jリーグは2020年5月29日、2月下旬の開幕戦以来中断していたJ1の再開を7月4日、J2再開とJ3開幕を6月27日とすることを発表。再開当初は無観客とし、その後は段階的に観客を入れていくことになった。6月15日には再編日程を発表。7月中は移動による感染リスクを下げるため、東西2ブロックに分けた対戦カードが新たに組まれた。

   シーズンチケットは、そのクラブ主管の年間全試合をスタジアム観戦できるもので、前年12月~年明け2月ごろにかけて販売されることが多い。だが、その直後に国内で蔓延した新型コロナウイルスの影響で、販売当時の予定とは異なるスケジュールでリーグを進行することが余儀なくされた。無観客や観客制限のため、本来シーズンチケットを使える試合に入場できないケースも出る。こうした事態を受け、多くのクラブがさまざまな形でシーズンチケットの払い戻し対応に乗り出していた。

   大宮アルディージャは6月13日、シーズンチケットの取り扱いについて発表。利用継続、払い戻し、払戻金の寄付など複数の選択肢がある。利用継続の場合も、無観客試合や制限付き試合で観戦できない分は1試合単位で払い戻す。払戻金をクラブに寄付する場合は、多くの他クラブと同様、スポーツ庁・文化庁が創設した寄付金控除の税優遇制度をあわせて案内した。

   「最も大事にした考え方は、『観戦を希望される方は観戦できるように、払戻しを希望される方は躊躇なく払戻しをできるように』し、お一人、お一人のご判断が尊重される状況をご提供することです」というのがクラブのスタンス。そして目を引いたのが、「無観客試合や制限付き開催における払戻し分のご寄付について多数ご意見を頂戴したことを受け、1試合単位でのご寄付に関しても対応させていただきます。心より感謝申し上げます」に続く、次のメッセージだった。

「しかし、『寄付するのが真のサポーター』という風潮は望んでおりません。繰り返しになりますが、あくまで皆さまのご判断を大事にしていただければ幸いです」
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