2020年6月19日に都道府県間をまたぐ移動の自粛要請が緩和されたことを受けて、多くが減便されてきた国内線の復活も本格化し始めた。
関西空港を拠点にする格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションはこの日から、国内線の全22路線で運航を再開。7月22日にコロナ前の水準に便数を戻し、8月には増便もする。現時点で国際線の運航再開の見通しが立たない中で、国内旅行の需要増に期待をかける。
7月22日にはコロナ前の水準、8月には増便
ピーチでは国内線12路線の運休が続いてきたが、移動制限の緩和を受けて運航を再開した。例えばコロナ前は1日2往復だった関西-福岡線は5月8日から運休が続いていたが、6月19日から1日1往復で復活した。現時点ではコロナ前の5割程度の便数だが、7月22日には、コロナ前の事業計画の便数(22路線、約100便)に戻す。夏休みの需要が期待できる8月1~31日には、11路線で計552便を増便する。
一方で、国際線は6月30日まで全便の運休が決まっている。入国制限の緩和が見通せない以上、その後の運航再開のメドも立たない状況だ。
森健明(もり・たけあき)代表取締役CEOは、この日運航が再開された関西発釧路行きのMM125便を見送った後に報道陣への取材に応じた。ハイペースでの運航再開の背景について
「それが出来たのも、やはり日本における感染症の感染例が非常に抑えられている。コントロールされているからできたのであって、それに向けて尽力されている関係者の皆様には感謝の言葉しかない」
などと説明した。
搭乗率53.3%をどう見るか
さらに、国際線の需要が戻るのは当面は難しいとの見方を示した上で、
「その分、海外旅行に行っていた方が、海外旅行に行けないのであれば、国内旅行に行こう、という形で気持ちを切り替えていただけると思う。これまでの国内旅行需要に、そこがトッピング(上積み)されてくるので、国内旅行の総需要は増えるとみている」
と話した。MM125便は、乗客96人(乳児2人含む)を乗せて、午前10時過ぎに関西空港を出発。ピーチが運航しているエアバスA320型機の定員は180人で、搭乗率は53.3%にとどまった。ピーチをはじめとするLCCの乗客は大半が観光客で、本格的に需要が戻るには多少の時間がかかりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)