徳島県の職員の男が女子高校生などに暴行した疑いで逮捕された事件が2020年6月16日報じられた。
インターネット上では、これを取り上げた記事の見出しに対し、疑問が上がっている。
夜遅くに声をかけ...
関西テレビは2020年6月16日、ウェブ版でこの事件を「女子高校生に『キモイ』と言われ...髪を引っ張り暴行した疑い 35歳の県職員を逮捕」というタイトルで報道した。
このニュースによれば、男は2日22時ごろ、路上で女子高校生に声をかけ、「『キモイ』などと言われたことに口論に発展」、逃げようとした女子高校生の髪を引っ張る、制止を試みた男性を殴るなどの暴行を働いた疑いが持たれている。なお、男性は「正当防衛」を主張し、容疑を否認しているとされる。
「『キモイ』と言われ~暴行」という見出しのインパクトの強さもあってか、記事はツイッターなどでも話題を呼んだ。当初はこれを受けて、
「男が悪いのは当然として、だから『キモい』っていう言葉は軽々しく使うべきではないということです。使う本人が思う以上に相手にとっては侮辱的・攻撃的な言葉ですので」
「反撃されないと思ってるのかもしれないが、思ったことを何でも口に出すもんじゃない」
といった声が上がった。
しかし上記の通り、元々男が22時という遅い時間に女性に声をかけたのが事件の発端であり、またNHKは、男性が「うちに来ないか」と声をかけたという詳細を加えて報道した。こうして事件の詳細や内容が広まると、インターネット上では、
「ただの声かけじゃなくて誘拐未遂。この女子高生は自分を守っただけ」
「何故こんなにも女子高生に非があるようかのタイトルなの?」
と、疑問の声が上がった。
徳島県警は「声かけ」に注意を呼び掛けている
徳島県警察は、「子ども・女性安全対策」として「卑わいな言葉で声をかける行為、犯罪に至らない声かけ行為」も子どもや女性を対象とする性犯罪等の前兆とみられる事案として注意を呼び掛けている。その具体例には今回のような、「一緒に遊びに行こう」などと別の場所へ連れていく言動も挙げている。警戒した高校生が拒絶するような態度をとってしまうことに同情する声は少なくはなく、警戒に至る過程をなくしたタイトルや報道に疑問が上がっている。
弁護士の太田啓子さんはツイッター上で、
「この件、そもそも見出しに『キモイと言われ』を入れるのはおかしい。事の本質は20歳くらい離れた見知らぬ女性に声をかけたらそっけない対応されて逆ギレした男性の問題。『キモイ』という言葉に注目させる書き方は問題があると思う」
と、関西テレビの報道タイトルを批判した。
政治アイドル・町田彩夏さんも、
「タイトルだと前後関係不明になっちゃってるけど、午後10時にいきなり見知らぬ男性から路上で声かけされたら気持ち悪いよね。加害者が逆ギレして暴行傷害事件へと発展したケース」
とコメントした。