日本料理店も最大の苦境
北京市内には数百店の日本料理店があり、たいていの客は日本料理といえば生のサーモンを思い浮かべる。
ある日本料理店の店長はこう言った。
「新型コロナが猛威を振るっていた2月、3月でも、我々は店を閉じず、客がよく来てくれた。しかし、今回の海からの奇襲で1日に来るお客さんは一人だけであり、ほんとうに困ってしまった」
新発地卸売市場ではサーモンを処理するまな板からウイルスを検出したが、サーモンによってウイルスが感染することはないと、6月16日に北京衛生検疫所は発表を2回も出したが、サーモンを敬遠する動きは止まらなかった。2月から6月中旬までは、なんとかしのいできた北京の日本料理店は今、たいへんな苦境にある。
2020年に中国、そして世界経済が回復するかどうかについて話すのは恐らく時期尚早だろう。新型コロナウイルスの予防対策の常態化が経済に与えるダメージは持続的なものであり、永久に続く可能性さえある。
国際通貨基金(IMF)が6月9日に厳粛な警告を発した。IMFは世界経済の回復速度が予想よりも遅く、深刻な傷跡を残すかもしれないとした。6月24日に発表される世界経済予測では、IMFが成長予測をさらに下方修正する可能性が極めて高い。
6月15日、中国が公表した5月の経済データもこの見方を実証している。事実上、4月の経済データは、市場のリバウンドの速度が弱まっており、経済における憂鬱な要素が増えていることを示していた。そして、5月には回復速度の低下がより顕著になった。
国家統計局が自己分析した経済回復の三大不確定要素とは、まず、製品価格の回復を示す動きが弱まっており、41業界中、25業界で成長が低下するか、拡大の幅が狭まり、製品の増加にも前月よりも落ちていることだ。
二つ目に、消費が失速したことであり、個人消費の成長は前月の0.7%から0.6%に下がり、アパレルや家具、文化、教育、工芸、美術、皮革製品などの業界における下落率は5.0%−11.4%の間だった。
三つ目は製造業への注文の減少であり、工業輸出額は増加から減少に転じ、前年比で1.4%下落した。
第2四半期(4−6月期)の中国のGDP成長率はマイナスからプラスに転じることができるのか。数日前のメディアでは楽観視されていたが、北京の現状をみると、とてもそうとは言い難い。
感染者ゼロという目標を求め続けてきた北京は、これから正念場を迎える。
(在北京ジャーナリスト 陳言)