2020年6月18日、東京都知事選挙(7月5日投票)が告示された。再選を目指す現職の小池百合子知事を始め候補が続々と名乗りを上げる中、出馬が明らかになったのが、諸派で新人の後藤輝樹氏だ。
後藤氏は2016年実施の都知事選にも立候補していたが、今回注目を集めているその理由は、同年に立候補した際の政見放送だ。
「ぶつ切り」の音声が話題になった政見放送
後藤氏は現在37歳。神奈川県議選を皮切りに数々の選挙に出馬し、奇抜なポスターなどで話題を呼んできたが、その存在が知られるようになったのは2016年の都知事選であろう。
2016年の都知事選でオンエアされたNHK版、民放版の政見放送だが、より大きな反響が上がったのがNHK版だ。同放送では、政見放送本編の開始直前に「公職選挙法第150条の2の規定を踏まえて音声を一部削除しています」とのナレーションとテロップが流れたほか、本編では実際に後藤氏の音声がたびたび消されており、まさに、「ぶつ切り」の状態だったのだ。
このため、視聴者の間では後藤氏が何らかの不適切な発言を行ったために音声が削除されたのではないかとの憶測が流れるなどした。なお、後藤氏のYouTubeチャンネル「後藤輝樹」を見てみると、この放送に後で自ら音声を足したと思われる「【ノーカット ピー音なし】後藤輝樹の政見放送」という動画が公開されていることが分かる。
また、民放版の政見放送では始まりこそ奇をてらった発言が続くものの、中盤から雰囲気は一転。まっすぐとカメラを見据え、東京オリンピックの実施費用が当初の6倍に跳ね上がっていると指摘した上で、
「もうその時点でアウトだろ。自分に置き換えてみ」
「3000万の家を建てます。実際、建てようとしたら6倍の1億8000万円。そしたら、普通、中止だろ」
と、東京オリンピックの中止を主張したのだった。
そのため、これらの政見放送を覚えていたとする視聴者からは、「放送禁止用語連発、戦闘力53万の後藤輝樹君が都知事選出馬!待ってた!政見放送楽しみにしてるよ!」と、その政見放送を待ち望む声がツイッター上に続々。他にも、「割と真面目な人なんですよ...」と、後藤さんの人となりを評する声も上がっている。
J-CAST姉妹サイトの取材に見せた素顔
なお、後藤氏は2016年の都知事選の際、J-CASTニュースの姉妹サイトである「Jタウンネット」の取材を受けていた。
「僕結構気ぃ遣いなので、突っ張っていないとつい、いい子ちゃんになっちゃう。でもそうすると、自分のやりたいこと、言いたいことができなくなってしまうから......」
「いい人ですよ、真面目な人ですよ、と僕はみんなをだましたくないんです。頭おかしい、というか、変わったところのある人なんだな、と最初から認識してもらいたい。当選してからも自分なりの切り口で活動していくつもりなので、最初から自分のスタイルというものを理解してもらった上で、受け入れてほしいんです」
と自らのスタンスを語った後藤氏。名前を載せず、旧日本軍の軍服姿の写真のみが掲載される、という奇抜な選挙ポスターについても「今度は軍服かなって。名前を載せなかったのは、それによって軍服がチープになるというか、蛇足になるという感じがしたので」と、実に落ち着いた口調で説明。この日開かれた演説会で来場者に対し、立候補にあたっての理念を丁寧に説明したのだった。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)