寄付マスク12万5000枚「捨てられるかも」 夢グループ社長が主張も埼玉県は否定

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   寄付したマスクが全部捨てられてしまうかもしれない――。埼玉県に寄付したマスク12万5000枚が活用されずに廃棄される可能性があるとして、寄付をした企業が不満をあらわにしている。

   一方、県は取材に「しかるべき時に使わせていただこうと検討しています」と答え、廃棄の予定はないとする。

  • 夢グループトップページより
    夢グループトップページより
  • 問題視された新聞折り込み広告の例(埼玉県報道発表資料より)
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「まさかの結果に残念な気持ち」

   芸能人のマネジメントや通信販売を手がける「夢グループ」(東京都文京区)は2020年6月12日、ツイッターで「私どもが寄付したマスク125,000枚が、一ヶ月経った今も一枚も配られずに今日まで保管され、全部捨てられてしまうかもしれないそうです」と石田重廣社長名義で投稿した。

   以降のツイートによれば、事情はこうだ。同社は5月12日、埼玉県にマスク12万5000枚を寄付したものの、6月11日に県から「配るための人員や費用が足りない」ため、すべてのマスクを返却したいと申し出があった。

   石田氏は申し出を断ったといい、「もっと早く『とてもじゃないが配ることが出来ない』と教えていただければ、即刻引き上げてマスクが無くてお困りの他の県に125,000枚のマスクをお渡ししていました」「まさかの結果に残念な気持ちでいっぱいです」と県の対応を非難する。

   その上で、「マスク全部が捨てられるかもしれないそうです」「まだ処分されていなければ埼玉県庁にあると思いますので、お問い合わせされてみては」と呼びかけた。

   石田氏は17日、J-CASTニュースの取材に、6月11日に県からいきなり呼び出され、寄付したマスクが活用されていないと知らされたという。埼玉県以外の自治体にもマスクを寄付していたが、このような対応は初めてだと明かす。

   その場で県の担当者に「今になって戻すと言われても戻す必要はありません。それをたらい回しに他のところに寄付するのも失礼だし、好きにしてください」との旨を伝えると、担当者からは「それでは捨てるということですか」と返事があり、石田氏が「(そちらで)決めていいですよ」と言って話は立ち消えになったという。

県は夢グループに措置命令

   県の新型コロナウイルス対策本部物資部は17日の取材に「事実とは異なる部分があります」と困惑気味に話す。

   担当者によれば、夢グループからは4月中に電話で申し出があり、5月に一般用マスク12万5000枚を受け取った。しかし、現在までに配布できなかった理由は「人員や費用が足りない」ためではなかった。この説明は、マスク配布に遅滞が生じる場合の一般論として伝えたという。

   真の理由は「県民から(同社のマスクについて)多数の苦情を受けているというのが寄付を受けた後に判明し、消費生活課が調査をしていたので、受け入れ先の伺いなど内部の事務処理をいったん停止し、状況を注視していた」ためだという。

   県消費生活課は6月11日、夢グループが販売するマスク「やわらか立体マスク30枚セット」「立体マスク30枚セット」の広告で、価格や販売期間を誤認させる表示をしていたとして、景品表示法違反(有利誤認)で措置命令を出している。

   発表によれば、販売価格が3600円のように表示していたものの、実際は手数料300円と送料500円を上乗せして支払わなければならなかった。また、販売期間を限定していないにもかかわらず「本日の広告でお一人様3セットまで」「本日の広告の有効期限5日間」とうたっていた。

   同課の担当者によれば、3~6月に県の消費生活センターや情報提供窓口に、「送料や手数料の字が小さくて高齢者が騙されてしまうのではないか」などと40件の相談があったという。

   なお、石田氏は措置命令に納得できず、不服申し立てをするとしている。

   12万超のマスクの"行方"はどうなるのか。物資部の担当者は、返却を申し出たのは事実としつつ、石田氏から「引き取らないので処分してほしい」と言われ、「マスク自体の価値は行政処分によって変わるわけではないので、しかるべき時に使わせていただこうと検討しています」と話した。

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