「本当に謝罪するなら、世間に言う前に当事者に伝えるべきでは」
これに対し、アップリンクは、16日夜になって、「元従業員からの訴訟について」と題したお知らせをサイト上に出した。
元従業員らから訴訟を起こされたことについて、「真摯に受け止めております」としたうえで、「不適切な言動があったことを深く反省し、謝罪致します。本件の解決に向けて、誠意をもって対応をして参ります」と述べた。
アップリンクとしても、パワハラなどの再発防止に努めるとしたうえで、「改めて詳細なコメントを発表します」と結んでいる。
こうした謝罪文について、原告代理人の馬奈木厳太郎弁護士は6月17日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「型通りの文書の印象を受けますね。詳細なコメントは拝見していませんので、評価する以前のことだと思います。早々と文書を出さざるをえない状況の認識ですから、大きいところでは争いがないはずです。原告側に書面などをいただいておらず、本当に謝罪するなら、世間に言う前に当事者に伝えるべきでは」
原告側は16日、被害者の会を立ち上げ、17日昼過ぎまでに自らの体験談などがメールで数十件も寄せられているという。
賛同者も募っており、映画監督の深田晃司氏らがツイッターなどでその意を示した。深田氏らが立ち上げた「ミニシアター・エイド基金」は17日、クラウドファンディングで集めた支援金3億円余の一部をアップリンクにも分配するものの、パワハラは許容できないと公式サイトで説明した。
このクラウドファンディングは、コロナ禍で苦境に立つミニシアターを緊急支援するのが目的で、浅井社長も、運営する映画館の一時休業を受けてツイッターなどで映画を見に来てなどと呼びかけていた。
アップリンクの宣伝部は17日、「今週中に浅井の方から詳細なコメントを出す予定ですので、現時点で話ができることはありません」と取材に答えた。原告側へのコンタクトも取っていないといい、浅井社長の辞任や関係者の処分があるかについても何とも言えないとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)