「普及率6割」高いハードル
「濃厚接触」に気付くきっかけとなる有用なアプリだが、利用者が少なければ絵に描いた餅になってしまう。安倍晋三首相は5月25日、緊急事態宣言解除の会見で、人口の6割近くにアプリが普及し、濃厚接触者の早期隔離につなげられれば、ロックダウン(都市封鎖)を避けられるとの、オックスフォード大学の試算を紹介した。
それでは、どう普及させるのか。テレビCMで告知するにしても、さすがにQRコードを大写しにして、「いますぐ、これを読み取って下さい!」と呼びかけるわけには行かない。待ち構えてもない限り、15秒でカメラを起動し、コードを読み取るのは至難の業だ。
心理的ハードルもある。先述したようにプライバシーには一定の配慮がされているが、近接データも個人情報であることには変わりない。「官製アプリ」での管理に拒否反応を覚える層も、一定数でてくるだろう。普及率6割までの道のりは長い。
無事インストールできても、有効活用されるかは、また別の話だ。陽性確認のアプリ登録は、受診者みずから手動で行うようになっており、また義務ではない。さすがに「面倒だから」と無視する人は少ないだろうが、重症でそれどころではなく、登録を後回しにする感染者は考えられる。