プロ野球ファン待望の公式戦が2020年6月19日に開幕する。新型コロナウイルスの影響で今シーズンは特別ルールが適用され、レギュラーシーズンは120試合で行われる。スケジュールを短縮したため連戦が増え、変則的なカード編成となる2020年シーズン。J-CASTニュース編集部は、楽天の元ヘッドコーチであり、巨人、西武、ヤクルトでコーチを務めた橋上秀樹氏(54)に今シーズンのパ・リーグの順位を予想してもらった。
「内海投手の調子が良いと聞いています」
橋上氏がパ・リーグ優勝を予想した球団は西武だ。昨シーズンはソフトバンクを抑え、リーグ連覇を果たした。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでソフトバンクに敗退し、2年連続で日本シリーズ出場を逃した。今シーズンは昨シーズン同様にリーグを代表する強打者がズラリ顔を揃え、チームの得点力は12球団でもトップクラスを誇る。
「ここ何年かは、打撃が投手力の弱さをカバーしてきました。今年も強力打線に変わりありませんが、投手陣に上積みがみられます。昨年、巨人から移籍してきた内海投手の調子が良いと聞いていますし、他チームの投手陣の調整が遅れるなか、西武の投手陣はうまく調整できている。昨年に比べて投手陣にプラス材料があります。開幕から一気に突っ走る可能性もあると思います」(橋上氏)
西武に続く2位としたチームは楽天だ。昨シーズンはリーグ3位でAクラスを死守。今シーズンは平石洋介監督(40)に代わって2軍監督だった三木肇氏(43)が1軍監督に就任した。昨オフはFA(フリーエージェント)で美馬学投手(33)がロッテに移籍し、涌井秀章投手(33)をロッテとの金銭トレードで獲得。MLBの元パドレス牧田和久投手(35)も今シーズンの新戦力となる。
「今年のシーズンが予定通り3月に開幕していれば、楽天が優勝候補でした。オープン戦の内容が非常によく、開幕が延期にならなければ良い形でシーズンに入れたと思います。ここ最近の練習試合では、岸投手と松井投手の投球内容があまりよくありませんでした。牧田投手、涌井投手が新戦力として加わり層が厚くはなったとはいえ、西武の強力打線をいかに抑えることが出来るか。今の西武打線を抑えるのはそう簡単ではないでしょう」(橋上氏)
「若手投手の伸びしろがあります」
3位は昨シーズン最下位のオリックスとした。オリックスは2015年以降、Bクラスが続き、ここ10年間でAクラスに入ったのは14年(2位)の1度だけ。低迷が続くオリックスをなぜ3位としたのか。橋上氏は次のように説明した。
「私はオリックスがパ・リーグのダークホース的な存在だと思っています。オリックスは近年、攻撃力が足りないため、攻撃を重視する傾向にありました。今シーズンはこれが守り勝つ野球に変わってきている。この戦略は今のオリックスに合っていると思います。先発陣では、山岡投手や田嶋投手など若手投手の伸びしろがあります。期待も込めて3位と予想しました」(橋上氏)
4位は昨シーズン、日本シリーズを制したソフトバンクだ。レギュラーシーズンは西武に2ゲーム差の2位に終わったものの、CSで西武を撃破し、日本シリーズではセ・リーグ王者・巨人に4連勝。今シーズンはウラディミール・バレンティン外野手(35)が加わったことで打線により厚みが増したが、エース千賀滉大投手(27)の故障が気になるところだ。
「ここ何年かの充実ぶりからすれば若干ダウン...」
「千賀投手、甲斐野投手が故障で出遅れているのは大きいでしょう。先発陣は豊富で頭数は揃っていますが、ここ何年かの充実ぶりからすれば若干ダウンしているようにみえます。デスパイネ選手、グラシアル選手が来日出来ていないのも痛い。2軍スタートとなりそうな内川選手の体調も気になります。ただ、柳田選手、バレンティン選手ら強打者が揃っていますから打線は充実していると思います」(橋上氏)
橋上氏が5位としたのは日ハムで、ロッテを最下位と予想した。日ハムは昨シーズン、首位・西武に13ゲーム差をつけられ5位に沈んだ。一方のロッテは、CS出場権をかけて楽天と争ったが、楽天と2ゲーム差で4位。日ハム、ロッテともに今シーズンはAクラス入りを目指しての戦いとなりそうだ。
「日ハムは先発投手のコマ不足もあり、昨シーズンはオープナーを使わざるを得ない状況でした。今年は連戦が続くので、投手力の弱いチームには厳しいシーズンになるでしょう。ロッテにしても6人のローテーション投手が見えてこない。美馬投手、福田選手、鳥谷選手らが新たに加入しましたが、そこまで上積みは感じません。ただ、日ハム、ロッテともに期待の若手が多くいますので、今後の活躍が楽しみです」(橋上氏)