接待を伴う飲食店など、「夜の街」関連の業種に向けて新型コロナウイルス感染防止のガイドライン案が政府から公表されているが、現場の事業者からすると、なかなか容易にはいかないようだ。
指針には「顧客の名簿管理」などが挙げられているが、キャバクラなどからするとこのガイドラインは厳守できるようなものなのか。J-CASTニュースは業界団体に取材した。
「『守るのが厳しい』となるような部分がある」
西村康稔経済再生担当相は接待を伴う飲食店やライブハウス、ナイトクラブの3業種に向けたガイドライン案を2020年6月13日の会見で公表し、業界団体などに協力を求めた。3業種に「共通の防止策」として、「店内における対人距離の確保や人数制限(できるだけ2メートル、最低1メートル)」や「顧客の名簿管理」などを呼びかけている。
この「顧客の名簿管理」について、NHK NEWS WEBは13日に「客に名前や連絡先の記入を求め、当面の間、保存するとしています」と説明している。
業界団体はどう考えているのか。日本水商売協会の甲賀香織代表は15日にJ-CASTニュースの取材に応じ、まずはガイドライン全体に対する自身の見解について話した。
「できるだけ2メートル開けるといったことが盛り込まれたガイドラインですが、内容として、お店によっては『この点はうちは守るのが厳しい』となるような部分がある。例えば、店内が無音の状態であろうと、マスクをして2メートル空けると、話し声すら相当小さく聞こえてしまいます。それでガイドラインを守らなくなる店が出てくると、『じゃあうちも守れない』というお店が出てくるだろうと思います。一方で、上から与えられたものではなく、自身らで業界のガイドラインを作り、それを守ろうという動きもあります」
また、「名簿管理」については、
「これを求めるのも止むを得ないという事情があり、感染経路の把握といった観点から必要なことだというのは理解しておりますし、協力したいという気持ちも山々です。一方で、やはりアナログ的に記入を求め、名簿を管理するというのは、お客様の情報の漏洩の危険性がつきまといます。大がかりな経路把握システムが導入されるまでの一時的な策なのかもしれませんが、『お客様に都度記入を求めるのは難しい』というお店も出てくるでしょう」
と、問題点を指摘する。