6月は株主総会のシーズン。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響で、「密」を避けるための取り組みが相次いでいる。
経済産業省は2020年5月下旬、株主に向け、総会への来場を原則控えて、パソコンやスマートフォンを含む事前の議決権行使を積極的に利用するよう呼びかけた。コロナ禍によって、状況が変わりつつある。
上場企業が「Zoom」で株主総会
開催が迫るにつれ、企業からは検温・消毒の徹底をはじめ、お土産の配布を見合わせるとのアナウンスが続いている。主に個人株主をターゲットとして、株主総会を「会社のファンになってもらう場」と位置づけている企業は、自社製品などを土産として提供したり、役員との懇親会を同時開催したりなどの施策を行ってきた。しかし、感染防止の観点からは適切と言えない。お土産の代わりに、インターネットなどでの議決権行使を行えば、後日送付するとのケースもあるが、すでに来年度以降も土産配布を行わないとしている企業も数ある。
そんな中で、新たに広がりつつあるのが、オンラインでの開催だ。経産省が2月に公表した「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」では、現実での株主総会に加えて、インターネットなどで遠隔地から参加・出席できるものを、リアルとバーチャルの「ハイブリッド型」と位置づけている。
実施ガイドでは、中継動画を傍聴するような「ハイブリッド参加型」と、質問や動議もできる「ハイブリッド出席型」に分類され、上場企業でもパイプドHD(5月27日開催済)やアドウェイズ(6月23日予定)などが「出席型」を採用する。パイプドHDはグループ会社のシステムを用いるが、アドウェイズでは、広く普及されているウェブ会議ツール「Zoom」を利用する。