まるで「鍋つかみ」?巨人・重信が使う走塁手袋の正体は 記者が着けてみると...

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   プロ野球のセ・パ公式戦が6月19日に幕を開ける。公式戦開幕へ向けて練習試合が各地で行われ、無観客ながらも盛り上がりを見せている。

   そのような中、ある選手の走塁手袋がひそかな話題を呼んでいる。巨人・重信慎之介外野手(27)の走塁手袋だ。一見、大きな手袋で、鍋つかみのようにも見える走塁手袋は、明らかに通常のものとは異なる。重信が使用する走塁手袋はいったい...。J-CASTニュース編集部が、その「正体」に迫った。

  • 2018年2月のオープン戦で走塁ガード手袋を使用する大谷翔平(写真:AP/アフロ)
    2018年2月のオープン戦で走塁ガード手袋を使用する大谷翔平(写真:AP/アフロ)
  • 「プロ772 スライディング・ミット」
    「プロ772 スライディング・ミット」
  • 2018年2月のオープン戦で走塁ガード手袋を使用する大谷翔平(写真:AP/アフロ)
  • 「プロ772 スライディング・ミット」

MLBでは決して珍しくはないが...

   俊足が大きな武器の重信。盗塁の際のヘッドスライディングは代名詞になりつつある。ここ最近の練習試合でも豪快なヘッドスライディングを見せ、ファンを沸かせている。その重信が出塁したシーンを見ると、あることに気付く。普通の選手のように塁上で走塁用の手袋を装着するわけだが、重信の左手にはめられた手袋は、手首から指先まですっぽり覆う形の黒い手袋で、あまり馴染みのないものだ。気になったファンもいるだろう。

   J-CASTニュース編集部が調べたところ、重信が使用する手袋は「走塁ガード手袋」というもので、走塁の際に指先や手首を保護するための手袋である。日本で使用している選手はあまり見かけないが、MLBではこの手袋を使用する選手は決して珍しくはないという。二刀流を貫くエンゼルスの大谷翔平(25)が2018年2月のオープン戦で同じような形状の手袋を使用したことで話題に上がったことがある。

   日本では2018年5月に指先や手首を保護する目的の「走塁ガード手袋」の使用が認められた。規定では、大きさ縦30センチ以下、幅13センチ以下、色はアンダーシャツと同色もしくは黒色となっている。ただ、日本国内では使用が解禁になってから「走塁ガード手袋」が浸透することはなく現在に至り、かつてオープン戦で使用した大谷もシーズンでは通常の5本指仕様の手袋を使用している。

大谷選手が使用して認知度が一気にアップ

   重信が使用していることでにわかに注目を集めている「走塁ガード手袋」は、今後プロで使用する選手は出てくるのか。J-CASTニュース編集部は、スポーツケア用品の輸入製造元で「走塁ガード手袋」を輸入販売している株式会社ムトーエンタープライズ(東京・世田谷区)のスポーツ&ライフ営業部の丸山大介氏に話を聞いた。

「走塁ガード手袋がNPBに認可される前に弊社の商品をプロのいくつかの球団に持参し、商品を見ていただきましたが、その時の反応は、ほとんど『なんだこれは』といったものでした。メジャーの試合で選手が使用している映像を見て頂きながら説明し、少しずつ理解していただきました。大谷選手が走塁ガード手袋を使用したことで認知度が一気に上がり、NPBに認可していただきましたのでもっと浸透するかと思ったのですが、現実はそうでもありませんでした」(丸山氏)

   同社は米国のサポーターメーカー「PRO社」が製造した「走塁ガード手袋」を販売している。重信が使用している手袋と同じ形状のもので、商品名は「プロ772 スライディング・ミット」。サイズはフリーでNPBの規定をクリアしており、ブラック、ブルー、ネイビー、レッドの4色を用意。お値段は参考価格1万2000円(税抜き)で、購入希望者は野球用具専門店、通販で購入するか、もしくは同社に問い合わせることも可能だという。

プロではパ・リーグの3球団が購入

   丸山氏は、「走塁ガード手袋」がもたらす「メリット」と「課題」を次のように解説してくれた。

「弊社の商品は指先から手首までを保護する目的で製造したもので、手のひらと甲の両面に、手の形状に沿った形の計量のアルミニウム製のプレートを内蔵しています。手首をしっかりと固定した上で、手全体をガード出来るよう作られています。指先部分にはネオプレンにEVA(吸収材)保護フォームを重ね、厚めの生地を使用していますので、指全体をガードすることが出来ます」(丸山氏)

   2018年5月に「走塁ガード手袋」の使用が解禁されて以降、プロ球団ではパ・リーグの3球団が「PRO社」の製品を購入したという。

「パ・リーグの球団にご購入いただいた主な理由は、交流戦の時に投手が塁に出ますので、その際に利き手をガードするためだと聞いております。指や手首をガード出来るという声を頂いておりますが、一部の選手から親指が広がらないので走りづらいという声もいただきました。5本指仕様の手袋に慣れている選手は、違和感を覚えるようです」(丸山氏)

「ご要望が出てくればお子さん用も必要に...」

   ネット上では、重信が使用する「走塁ガード手袋」を見たファンから様々な声が上がっており、「指先が長くなりランナーが有利になるのでは」と懐疑的な声も見られる。このような疑問に応えるため、記者が実際に「プロ772 スライディング・ミット」を装着し、フィット感を確認してみた。

   まず指先を手袋に入れ、先端まで滑らす。指先が先端に到達するのを確認した後、手首をマジックテープで固定する。実際、手袋を装着してみると、手首部分に内蔵されたプレートによって手首が想像以上に固定される感じがした。手首をしっかり固定することで、指先の隙間はできなかった。ただ、一部のプロ選手から指摘があったように、装着した際に全ての指が手袋の中に納まるので慣れるまで時間がかかるかもしれない。

   また、プロの球団以外では大学の軟式野球チームが同社の「走塁ガード手袋」を購入したという。高校野球に関しては、現時点で日本高校野球連盟の許可がおりていないため、公式戦で使用することは出来ない。

   丸山氏は「アメリカではジュニア用を販売しておりますが、弊社ではまだ販売しておりません。これからご要望が出てくればお子さん用も必要になると思います」と話した。

   近年、野球用具は飛躍的に進化を遂げ、選手のケガ防止にもつながっている。果たして今後、「走塁ガード手袋」は野球界に浸透していくのか...。注目していきたい。

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