元大物財務次官の参加で波紋 デジタル通貨「勉強会」の真の狙いは? 

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デジタル通貨としての法定通貨「円」構想に言及する報道も

   勉強会は2020年9月まで月1、2回のペースで会合を開き、デジタル通貨やデジタル決済インフラを巡る課題とその解決方法について議論を進め、サービスやインフラの標準化に関する方向性を示すことを目指すとしている。背景にあるのは、デジタル通貨やデジタル決済の規格の乱立だ。例えばメガバンクでは、みずほ銀行がデジタル通貨「Jコインペイ」を展開し、三菱UFJ銀行も別のデジタル通貨の発行を計画している。JR東日本は電子マネー「Suica(スイカ)」を発行しており、勉強会に参加していない通信系や流通系、IT系などの企業がそれぞれ独自の規格で電子マネーやデジタル決済サービスを展開している。このままでは乱立が発展の阻害要因となりかねず、特に取り組みが遅れているメガバンク系にとって、鉄道利用者を中心に約8000万枚を発行するスイカとの連携は、てこ入れ策にもなりえる。

   ただ、この勉強会を巡っては、オブザーバーに日銀や財務省が加わっている点に絡めて、デジタル通貨として法定通貨「円」を発行する構想に言及する報道があり、単なる民間同士の規格標準化に終わらないのでは、との見方もある。中国は中央銀行による「デジタル人民元」の発行を目指しており、具体的な発行計画はないものの日銀も海外の中央銀行とデジタル通貨に関する共同研究をしている。先行報道が先走りすぎたのか、参加企業からは勉強会と距離を置く声も早速漏れているが、今後の日本でのデジタル通貨を巡る動きの中核として引き続き注目を集めそうだ。

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