いよいよ2020年6月15日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による中断明けの対戦カードと日程が明かされるJリーグ。この人の姿を見る機会も増えることだろう。「僕にとっては、その先々にいる『人』に会っているという意味があったんですよね」。筋金入りのサッカー好きとして知られるお笑い芸人・平畠啓史さん(51)。3か月以上の中断期間で、ふとそう気づかされたという。
Jリーグ公式YouTube番組に出演し、DAZN(ダゾーン)が配信するJ3の試合では実況を任されることもある平畠さん。この6月には、J1・J2・J3の全56クラブを巡った書籍も刊行し、もはや単なる「サッカー芸人」の枠を超えて存在感を増している。ただ本人は、「たとえば『日本のサッカーを変えよう』なんて大それたことは微塵も考えてないんですよ」と笑う。
平畠さんにとって、Jリーグを追い続ける「意味」とは何なのか。J-CASTニュースは5月28日、オンラインでインタビュー。言動の軸にあるのは、どこまで行っても「人」だった。
「同じ試合を見ても、人によって感じ方は違いますよね」
「サッカー以外に趣味がない人間やなあと思いましたね。サッカーがないと土日が本当に長い。朝起きて、昼過ぎまでテレビを見ても、まだ全然時間がある。ここ数年は日曜日に必ず毎週スタジアムに行ったり毎節何試合も見たりと、バタバタしていることが多かったんで落差ありますよね」
新型コロナウイルス感染対策のため、Jリーグは2月下旬の開幕戦直後に中断期間へ入った。取材日の時点で中断から既に3か月が経過。平畠さんはその間に感じたこともあった。
「何が寂しいって、誰というでもなく人に会えない。自分はもちろんスタジアムにサッカーを見に行っているんですけど、その先々にいる『人』に会っているという意味もあったんですよね。そんなことに気づかされました」
今季の開幕前、並大抵のサッカー好きではそうできないことに取り組んだ。平畠さんは19年3月から20年2月にかけ、J1・J2・J3の全クラブを自ら行脚。『平畠啓史 Jリーグ56クラブ巡礼』(ヨシモトブックス)を6月5日に刊行した。各クラブゆかりのある人物に1人ずつ取材し、それぞれの「物語」を紡いだ1冊。その大きな特徴は、取材した人物が選手や監督だけでなく、サポーターやスタジアムDJなど、とにかく幅広いことだ。
「同じ試合を見ても、人によって感じ方は違いますよね。それぞれの感じ方を聞きたいし、教えられることも多いんですよ。1個1個が自分にとってためになります。たとえばAさんとBさんが正反対の意見であっても、どっちも参考になるし、自分のサッカーの見方も広がります」