デモ隊がシアトルを占拠――。
ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人男性を死亡させた事件を受け、西部ワシントン州シアトルでは2020年6月10日から11日にかけて、約500人のデモ隊が市街地の一角である市庁舎周辺にバリケードを築き、「キャピトルヒル自治区(Capitol Hill Autonomous Zone)」を設置したと主張する事態となっている。
警察署も占拠し、警察署の建物正面の文字は「警察(POLICE)」が「人々(PEOPLE)」に書き換えられ、「SEATTLE PEOPLE DEPARTMENT」とされた。報道によると、警察署が緊張を和らげるために一時的に閉鎖したところ、デモ隊がその周辺にバリケードを設けて占拠したという。
大統領「国内テロだ」
FOXニュースによると、自治区設置にはアンティファ(ANTIFA=左派から極左の反ファシズム運動で、トランプ大統領の支持者と対立)が関与しており、彼らもそれを隠してはいないという。
一部の報道では、自治区のリーダーのひとりは、ラッパーのラズ・シモン氏だといわれている。ライフル銃や拳銃を持ち歩き、我々が「警察」だと主張する人たちがいる。
警察とデモ隊の衝突もあり、シアトル市警は「強奪や強姦なども起きているが、私たちは中に入ることができない」と訴えている。警官が「自治区」に入ろうとして、デモ隊に阻止される場面もあった。
自治区には住民が住み、商店もあるため、警察のいない状態で何かあった時に、安全を懸念する声が高まっている。
トランプ大統領はこれを、「シアトルを乗っ取った国内テロだ」とし、民主党のジェイ・インズリー州知事とジェニー・ダーカン市長を厳しく非難し、「自分たちの町を取り戻せ。今すぐだ。やらないなら私がやる」、「これはゲームじゃない。醜い無政府主義者をストップすべきだ。今、すぐにだ」と次々にツイートした。
これに対してダーカン市長は、「(トランプ氏は)ホワイトハウスの地下壕に引っ込んでいなさい」とツイートで応酬。フロイト氏の死をきっかけに起きた抗議デモ参加者らがホワイトハウス近くに集まった時、トランプ氏が警護隊に付き添われてホワイトハウス地下に退避したという報道を受けたものだ。
また、トランプ氏が、前出のツイートで、ストップをスペルミスでストゥープと記したことを皮肉り、インズリー州知事もツイートで、「統治能力がゼロなのだから、ワシントン州には関わるべきじゃない。ツイートを『ストゥープ』しろ」と反論した。