根拠不明の「インフォデミック」、抗議活動でも続々 BLM&ANTIFAめぐりファクトチェック進む

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   新型コロナウイルスをめぐって根拠不明の情報が飛び交う「インフォデミック」が起こる中、米国で広がる抗議活動をめぐる根拠不明の情報も広がりを見せている。

   「Black Lives Matter=黒人の命も大切だ」を意味する「BLM」と呼ばれる運動が存在感を増し、「ANTIFA(アンティファ)」と呼ばれる極左組織の存在もクローズアップされる。そんな中で、今回の抗議活動をめぐる誤情報が拡散する事例も相次いでおり、その真偽を検証するファクトチェックの取り組みも進んでいる。

  • 誤情報はフェイスブックで拡散。今でも問題の動画は見られるが、見ようとすると警告とファクトチェック記事へのリンクが表示される
    誤情報はフェイスブックで拡散。今でも問題の動画は見られるが、見ようとすると警告とファクトチェック記事へのリンクが表示される
  • 「日本ANTIFA『差別の象徴』として神社を放火」として投稿された動画は、17年に「宮城県大崎市山神神社火事」として投稿された動画と同じだった
    「日本ANTIFA『差別の象徴』として神社を放火」として投稿された動画は、17年に「宮城県大崎市山神神社火事」として投稿された動画と同じだった
  • 誤情報はフェイスブックで拡散。今でも問題の動画は見られるが、見ようとすると警告とファクトチェック記事へのリンクが表示される
  • 「日本ANTIFA『差別の象徴』として神社を放火」として投稿された動画は、17年に「宮城県大崎市山神神社火事」として投稿された動画と同じだった

ホワイトハウスに押し入った→オハイオ州議会議事堂の襲撃でした

   誤情報の典型例が、過去に撮影された動画や画像に、実際とは異なる説明がつけられて拡散する事例だ。例えば2020年5月末には、群衆が窓を割りながら建物に押し入る動画が「彼らはホワイトハウスに押し入った」という字幕つきでフェイスブックで拡散された。だが、ロイター通信はこの動画について、映り込んでいる照明器具や窓を根拠に、

   「5月29日にオハイオ州の州議会議事堂が襲撃された際に撮影された」

などと指摘し、動画の「ホワイトハウスに押し入った」という内容は「誤り」だと判定した。さらに、

「ロイターは最近、ホワイトハウスの警備を突破したと主張する同様の投稿も検証したが、同様にオハイオ州議会議事堂の映像だった」

とも指摘している。

   「誤り」だと判定された動画は現時点でもフェイスブックに掲載されているが、アクセスしようとすると

「虚偽の情報 独立した第三者ファクトチェッカーによってチェックされています」

という警告が表示され、「理由を見る」のリンクをクリックすると、ロイターなどのファクトチェックが読める仕組みになっている。

   5月末には、真っ暗になったホワイトハウスの写真が「トランプ大統領が隠れたからだ」といった説明とともに拡散。AP通信は、写真は2015年にゲッティイメージズのデータベースにアップロードされ、それを暗く加工したものだとして、やはり「誤り」だと指摘している。

2017年投稿の動画に「日本ANTIFA『差別の象徴』として神社を放火」

   日本語で根拠不明な情報が広がったケースもある。

   評論家の石平氏は、6月2日午前、赤い旗を掲げて抗議活動を行っている人の写真つきのツイートを引用しながら

「アメリカの『抗議者』、どういうわけか中国共産党党旗、中国の国旗を掲げている。暴動の背後に中共の暗影があるのではないかとの疑惑が深まっている」

とツイートしたが、午後になって

「今になってこの二枚の写真は合成であったかどうかを素人の私は見抜くノウハウのないことを思えば、慎重のために午前中のツイートを削除した」

と軌道修正した。

   石平氏が引用したツイートには写真が2枚ついていた。1枚は、11年にニューヨーク・ウォール街で行われたデモの様子として中国メディアが報じた写真で、もう1枚は、18年にカナダのニュースサイトの編集長が、黒人容疑者が警官に射殺されたことに抗議するデモの様子として投稿した写真と同じだった。

   6月3日には、フォロワー(読者)数が1万2000人いる匿名アカウントが、

「米国ANTIFA『富の象徴』としてブランド店放火→日本ANTIFA『差別の象徴』として神社を放火」

という1行とともに、木造の建造物が燃える動画を投稿。1000回近くリツイートされた。だが、この動画は17年2月に

「宮城県大崎市山神神社火事」

として投稿された動画と同じ内容だった。

   国内事例の検証にあたっては、ファクトチェックを支援する国内団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が運営する、真偽不明の情報を収集するシステム「クレーム・モニター」の情報を利用した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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