新型コロナウイルスをめぐって根拠不明の情報が飛び交う「インフォデミック」が起こる中、米国で広がる抗議活動をめぐる根拠不明の情報も広がりを見せている。
「Black Lives Matter=黒人の命も大切だ」を意味する「BLM」と呼ばれる運動が存在感を増し、「ANTIFA(アンティファ)」と呼ばれる極左組織の存在もクローズアップされる。そんな中で、今回の抗議活動をめぐる誤情報が拡散する事例も相次いでおり、その真偽を検証するファクトチェックの取り組みも進んでいる。
ホワイトハウスに押し入った→オハイオ州議会議事堂の襲撃でした
誤情報の典型例が、過去に撮影された動画や画像に、実際とは異なる説明がつけられて拡散する事例だ。例えば2020年5月末には、群衆が窓を割りながら建物に押し入る動画が「彼らはホワイトハウスに押し入った」という字幕つきでフェイスブックで拡散された。だが、ロイター通信はこの動画について、映り込んでいる照明器具や窓を根拠に、
「5月29日にオハイオ州の州議会議事堂が襲撃された際に撮影された」
などと指摘し、動画の「ホワイトハウスに押し入った」という内容は「誤り」だと判定した。さらに、
「ロイターは最近、ホワイトハウスの警備を突破したと主張する同様の投稿も検証したが、同様にオハイオ州議会議事堂の映像だった」
とも指摘している。
「誤り」だと判定された動画は現時点でもフェイスブックに掲載されているが、アクセスしようとすると
「虚偽の情報 独立した第三者ファクトチェッカーによってチェックされています」
という警告が表示され、「理由を見る」のリンクをクリックすると、ロイターなどのファクトチェックが読める仕組みになっている。
5月末には、真っ暗になったホワイトハウスの写真が「トランプ大統領が隠れたからだ」といった説明とともに拡散。AP通信は、写真は2015年にゲッティイメージズのデータベースにアップロードされ、それを暗く加工したものだとして、やはり「誤り」だと指摘している。