2019年9月の内閣改造で初入閣を果たした北村誠吾地方創生相(73)は、ちぐはぐな答弁を繰り返し、迷走しているとも指摘されている。
今国会でも、担当する公文書管理を巡って、立憲民主党の蓮舫副代表(52)に突っ込まれ、立ち往生する場面があった。
「担当大臣が...」を連呼
「よいしょ」。北村氏は、2020年6月11日の参院予算委員会で答弁に立ったが、億劫そうに歩いてきてこうつぶやき、新型コロナウイルス対策の専門家会議の議事録について説明を始めた。
「担当の西村(康稔・新型コロナ対策)大臣の下で、ガイドラインを踏まえつつ」などと述べた後、「専門家会議につきましては、議論の内容が分かるよう、かなり丁寧な記録が作成されているものと承知している」とした。
北村氏は毎回、周囲に確認を取って答弁が遅れるうえ、下を向いて文書の読み上げを繰り返している。
蓮舫氏は「あのね、北村大臣」と呼びかけ、「勝手に大臣が独自の判断で『この公文書は残さないでいい』と判断しないよう、あなたがいるんですよ」と諭した。
ところが、北村氏は、「担当の西村大臣が判断しておられる」と繰り返したため、蓮舫氏は、こう疑問を呈した。
「ちょっと待って下さい。あなたは、何のためにいるんですか?」
その質問について、北村氏は答えず、用意した文書を読み上げた。
専門家会議について、公文書管理法上の位置づけを蓮舫氏が再度ただすと、北村氏は、「担当大臣がご判断なさるところだろうと思います」と禅問答のように同じ答弁をした。
「担当大臣はあなたですよ」「必ずしもそうとは限らない」
すかさず、蓮舫氏が「担当大臣はあなたですよ」と声を上げると、北村氏は、ムッとした表情で「必ずしもそうとは限らない」と反論した。
「質問は座って聞きますから」と北村氏が席に戻ると、議場が騒然となって審議がいったん中断した。
しばらくして審議が再開したが、北村氏は、所管省庁の担当部局が判断するべきなどと答弁をしたため、蓮舫氏は、「あなた、何のためにいるんですか、じゃあ?」とあきれた様子だった。
その後、北村氏が「公文書管理担当としては、適切にまた検証可能なように文書を作成・保存していただきたい」などと答えると、蓮舫氏は、あきらめた様子で安倍晋三首相への質問に切り替えていた。
こうした北村氏の答弁について、ツイッター上では、「自分が公文書の担当大臣という自覚がない」「質問把握できない北村さん、大臣としてだめでしょ」「この内閣が公文書をいかに軽視しているか」と厳しい声が相次いだ。一方で、吊し上げた蓮舫氏に対しても、「国会でイジメは見苦しい」「揚げ足とろうとしてるのが見え見え」などと批判もあった。
伊藤惇夫氏「派閥の順送り人事の象徴的な人物ですよ」
政治アナリストの伊藤惇夫さんは、北村氏について、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「元々、派閥の順送り人事を安倍政権が丸飲みした形ですね。その象徴的な人物だと思います。当選回数が多いのに大臣になっていない人を岸田派から送り込まれたわけです。最初から、『この人危ない』と言われていましたね。イジメだと言うなら、大臣にしなければよかったんですよ」
こんな人事が安倍政権に与える影響については、伊藤さんはこう言う。
「政権の足元がだいぶふらついてきており、自民党の党内がざわつき始めています。安倍さんは、粘り腰で長期政権を維持してきており、ほとぼりが冷めるのを待つのだと思いますが、今回も通用するのかどうかでしょうね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)