「同業と指導法を共有する機会がなく苦労してきた」
J-CASTニュースが、一二三さんにこの漫画を描いた経緯を尋ねると、
「自分が漫画家として絵の指示の難しさをずっと痛感してきたこと、自営業だと同業と指導法を共有する機会がなく苦労してきたことがあります。ある程度回せるようになってきた今、これまでの経験を昔の自分のような駆け出しの方に共有できたら助かるだろうと思ったのが一つです。作品数の多い今漫画アシスタントはどこも人手不足なので、少しでも漫画業界にいい人材が増えれば業界としてもプラスになります」
と、漫画家ならではの悩みとその解決策を共有したいという思いを述べる。
漫画内で一二三さんは、目で見たことを特に覚えているタイプ、耳で聞いたことを特に覚えているタイプ、肌や体全体での経験を特に覚えているタイプの人がいるとの見方を示した。しかし今回の描写は何人かの出来事を組み合わせて書いているとし、実際は人も対応ももっと多様なパターンがあると述べる。さらに、
「それと自分も指示をとんちんかんに受け取ったり失敗を重ねながら成長してきたので分かるのですが、適切なコミュニケーションは上司と部下両方が歩み寄らなければできません。育てれば成長できるのに上司の無理解で自信を失い辞めてしまう人もいれば、失敗を反省せず負担を増やし続ける部下に心を病んで働けなくなる人もいます。どちらか一方だけに理由を押し付けてしまうと本質を見誤るのが仕事の難しさだと常々感じていたので、今ならそういった迷いを両方に寄り添って描けるかなと思いました」
と、自身も仕事内での失敗や反省から学んだという経緯を語った。