ジャーナリストの伊藤詩織さん(31)が名誉棄損で提訴した漫画家が、ツイッターで発言を繰り返している。
提訴の影響で自らにも「誹謗中傷が殺到している」といい、自虐的な内容の投稿もしている。どんな状況になっているのだろうか。
「私が木村花さんの様にならないよう、最新の注意を」
「生理も来ていない更年期」「とっとと消えろ」「人殺し」「クズ」「交通事故で死ね」...。
漫画家のはすみとしこさんは2020年6月9日、提訴された後にこんな誹謗中傷が来ているとツイッターで訴えた。
今回の提訴では、伊藤さんが前日の8日に記者会見して、はすみさんがツイッターに投稿したイラストなどで誹謗中傷の被害を受けたとしていた。亡くなった女子プロレスラーの木村花さんのケースを挙げ、「本当にショックだった」として提訴の後押しになったと明かしていた。
これに対し、はすみさんは、提訴の影響で自分に誹謗中傷が殺到したとし、「ミイラ取りがミイラになるとはこの事だね」と皮肉った。さらに、伊藤さんに向けて、「私が木村花さんの様にならないよう、最新の注意を払った方がいいんでねぇの?」(原文ママ)とも書いていた。
はすみさんがイラストを投稿し始めたのは、2017年6月だ。
伊藤さんが顔や名前を明かし、元TBS記者の山口敬之さんからの性行為強要を訴えた直後からになる。伊藤さんの名前に似た「山ロ(ヤマロ)沙織」を主人公にして、大物記者と寝る「枕営業」をしたと描写したり、伊藤さんの著書『BLACK BOX』に似た名前の『CLAP BOX』を「デッチあげ」だとしたりしていた。
投稿は、伊藤さんが山口さんに1審で勝訴した19年12月まで続いた。
伊藤さんの代理人「訴訟に関わるので、ノーコメント」
伊藤さんは、勝訴したときの会見で、はすみさんらについても法的措置を考えていることを明かした。これに対し、はすみさんは、イラストなどの風刺画は伊藤さんとは無関係なフィクションだとし、作品を削除しないと明言した。
伊藤さんは、5月14日付の内容証明郵便で、550万円の損害賠償支払いと投稿の削除、謝罪広告の掲載を求めたが、はすみさんが応じなかったため、同じ内容の提訴に踏み切っていた。
はすみさんの投稿をリツイートした東京都内の医師やクリエイターの2人にも、それぞれ110万円支払いと投稿の削除を求めている。
はすみさんは6月10日、ツイッターのヘッダー画像に「枕営業」のイラストを掲載している。伊藤さんからの提訴については、近日中に広報するとはしていた。
励ましの声についてはツイートで感謝を伝えており、10日には、誹謗中傷について「私は『パブリック・フィギュア』の端くれとして、批判も立派な評価であると受け止めております。伊藤詩織さんも国際ジャーナリスト。パブリック・フィギュアとしての振る舞いを期待します」とつづっている。J-CASTニュースでは、はすみさんにツイッターを通じて取材依頼したが、同日17時までに回答はなかった。
はすみさんの提訴後の動きについて、伊藤さんの代理人をしている山口元一弁護士は9日、「訴訟の中身にも関わりますので、ノーコメントにさせて下さい」と取材に答えた。リツイートした2人の動きについても、ノーコメントだとした。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)