「新中国連邦国家」という聞き慣れない言葉が2020年6月5日に、いきなり日本のツイッターで「トレンド」入りし、戸惑いの声が広がった。
仕掛け人は、トランプ大統領の側近だった元首席戦略官のスティーブ・バノン氏や2014年に中国から亡命した実業家の郭文貴氏。「ヒマラヤ監督機構」を立ち上げて中国共産党を打倒し、「新中国連邦国家」を立ち上げるという内容だ。この荒唐無稽とも言える構想自体はほとんど注目されず、世界のメディアが注目したのは、その構想の賛同者だった。
「新中国連邦国家おめでとう!」のバナーがニューヨーク上空に
「新中国連邦国家」の発信源はニューヨークだ。6月3日夕方(現地時間)「新中国連邦国家おめでとう!」の文字が入った旗(バナー)をつけた軽飛行機が8機ほど、マンハッタン上空を飛び、ツイッターには「何が起こっているのか」「どうこうことなんだ」といった声が相次いで投稿された。
さらに、ニューヨーク湾の船上から行われた動画配信で、郭氏とバノン氏が「新中国連邦国家」の創立を宣言。郭氏が立ち上げたウェブサイト「Gニュース」に、宣言文が日本語を含む6か国語で掲載された。
宣言は6月4日付。1989年に天安門事件が発生した日を念頭に置いているとみられる。日本語版の「新中国連邦宣言」によると、
「自由意志に基づく、政治的実体を持たない民間団体」の「ヒマラヤ監督機構」を立ち上げた上で、「新中国連邦のビジョン」として
「国際社会の関連する機構、及びヒマラヤ監督機構の共同監督の下、憲法を制定し、三権分立の政治体系を構築する」
ことを掲げている。その前提として
「中共が存在しない新中国連邦は、全国民と世界繁栄の為に必須でもある」
とも主張している。なお、米バズフィードは、「Gニュース」について、「新型コロナウイルスについてフェイクニュースを報じた」と指摘している。