横田滋さん死去で安倍首相「断腸の思い」 日本政府が打てる手は...

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   北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(当時13)の父、横田滋さん(87)の死去を受け、安倍晋三首相は2020年6月8日、めぐみさんの帰国が実現できていないことについて「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと沈痛な表情で語った。

   安倍氏は19年5月から、金正恩・朝鮮労働党委員長との首脳会談を「条件を付けずに」行いたい意向を示しているが、事態の進展は全く見えないままだ。日本政府が打てる手はあるのか。

  • 安倍晋三首相。横田滋さんの死去を受け、「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと語った(写真は首相官邸ウェブサイトから)
    安倍晋三首相。横田滋さんの死去を受け、「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと語った(写真は首相官邸ウェブサイトから)
  • 安倍晋三首相。横田滋さんの死去を受け、「断腸の思い。本当に申し訳ない思いでいっぱい」などと語った(写真は首相官邸ウェブサイトから)

「様々な動きを見逃すことなく、チャンスを捕らえて果断に行動」とは言うものの

   安倍氏が横田氏の死去を受けて語った今後の方針は、

「政府として、日本国として、様々な動きを見逃すことなく、チャンスを捕らえて果断に行動して、実現していきたい」

といった曖昧なものだった。

   拉致問題で具体的な進展があったかに見えたのは、もう6年も前のことだ。14年5月に結ばれた「ストックホルム合意」で、北朝鮮側は拉致被害者や行方不明者を含む「すべての日本人」の再調査を行い、日本側は独自制裁の一部を解除することで合意。調査の進展に注目が集まったが、北朝鮮が核実験と弾道ミサイルの発射を行ったため、日本政府が16年2月に再び独自制裁を決定。その2日後、北朝鮮は調査を中止し、合意に基づく「特別調査委員会」を解体すると発表していた。安倍氏は20年1月29日の参院予算委員会で、「ストックホルム合意以降、北朝鮮の特別調査委員会による調査について、北朝鮮から調査結果の通報はなされていない。また、報告書も受け取っていないということだ」

と説明している。

   だが、政府は拉致被害者の「生存情報」について、あいまいな態度をとり続けている。共同通信は18年3月、政府が北朝鮮からの拉致被害者として認定している神戸市の元ラーメン店員、田中実さん=失踪当時(28)=と、政府が「拉致の可能性が否定できない」としている金田龍光さん=同(26)=の2人について、14年に日本政府に対して「生存情報」を非公式に伝えていたと報道。2人は同じ児童養護施設で育ち、同じラーメン屋で勤務していた。

   この2人について共同は19年12月、ストックホルム合意の前後に北朝鮮から「生存情報」を伝えられ、その際に「政府高官が『(2人の情報だけでは内容が少なく)国民の理解を得るのは難しい』として非公表にすると決めていた」「安倍晋三首相も了承していた」と、「複数の日本政府関係者」の話として報じていた。

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