2020年5月29日、一般社団法人超教育協会(以下、超教育協会)と一般社団法人日本eスポーツ連合(以下、JeSU)の連名で、「eスポーツ超学校」の設置及び活動が開始されると発表された。
eスポーツが持つ教育的価値の探索
超教育協会とはIT関連の人材育成やAI・ビッグデータ・ブロックチェーンなどの先端技術を学校の枠を越えて教育へ導入していく活動を推進している団体だ。eスポーツは教育分野でも関心が高く、導入を考えている各教育機関によるコミュニティを形成し、関係行政機関などとの連携協力、一丸となった活動を具体的な取り組みとして推進するために「eスポーツ超学校」が設立されることになった格好のようだ。
「eスポーツ超学校」はオブザーバーとして経済産業省や内閣府知的財産戦略推進事務局が参加している。また多くのeスポーツ関係者や教育者がフェローとして名を連ねており、今後共同カリキュラムの講師やコミュニティ及びワーキンググループの活動へのアドバイスを行うことも明かされている。
現状、eスポーツは大会やイベントが盛んにおこなわれているが、業界としての動きはまだ統一感があるとは言えず、現場では様々な問題が発生することもしばしばだ。
中でも特に筆者が厳しい状況にあると考えるのが、社会的なルールを守れない、ごく一部のゲーマーの振る舞いだ。
教育とeスポーツが手を取り合う意味
チートの利用や規約を無視した不正行為により、大会が混乱する事態はさほど珍しいことではない。混乱した大会の参加者やギャラリーがeスポーツに参加し続けてくれるのかという点で考えれば、業界としてはかなりのマイナス効果となる。大会運営側も不正行為には厳正に対処していることは多いが、安直な勝利や単なるいたずら目的のための行為を防ぎきる手段は今のところ無いと言えるだろう。
eスポーツの大会には金銭が絡む以上、完全に不正行為を排除することは難しいだろうが、教育によるモラル向上は不正減少に向けて非常に有効な手段であると思われる。
また、礼儀作法を学ぶ機会が無かった若手ゲーマーの中には、関係者一般人問わず様々な形で無礼な振る舞いに及んだためにプロチーム入りの話が反故になるなど、チャンスを失った例も散見される。今後このような事態を防ぐためにも、教育とeスポーツが手を取り合うことには大きな意味があると考えられる。より一層のeスポーツの発展のため、「eスポーツ超学校」が背骨に一本の芯を通すがごとき柱となってくれることが期待される。
(eスポーツライター 早川清一朗)