「アンケートがトドメとなり失効」
だが、少なくともAさんとBさんとCさんは、店員への暴言やネットでの誹謗中傷や迷惑行為はしていないと話している。淡々と無料パスを提示して無料で食事を続けることはなぜ認められないのか。この点、宮下氏は「初回来店時にお伝えしたことです。『無料以外のメニューも食べてコメントを頂きたい』と伝えて同意されたのに、召し上がっていただけませんでした」と、初回来店時の同意に反したためだと繰り返した。
アンケートは、無料対象メニューしか注文していなかった支援者のうち、口頭でのコミュニケーションも取れていなかった人を対象に送信したという。その回答が、無料パス没収の最終的な原因となったケースもある。
「アンケートでは本音を聞きたかったのですが、『残念なことばかり』などと書いて句読点などで字数を稼ぐ、必須項目に回答がない、利用規約への質問に『覚えてない』と回答するといった方々がおり、もうコミュニケーションが取れないと判断しました。『アンケートへの不誠実な対応』と書きましたが、こちらが苦しい思いをしていた中で、アンケートがトドメとなり、失効に至りました」(宮下氏)
「地方創生―」の質問などは飲食店運営との関係が薄いのではないかと指摘すると、関係は深いことを強調した。
「そもそもこのCFは飲食店をオープンするためだけでなく、水戸に納豆ご飯専門店をつくって一緒に地方創生を目指すと募集ページに書きました。CFは地方創生のプロジェクトに活用できるプラットフォームでもあります。たとえば今の時点でアンケートを送ったとして、『新型コロナウイルス禍で飲食店として○○をすれば地方創生につながる』といった回答であれば、我々としても引き続きご支援いただきたいと考えます」(宮下氏)
確かにFAAVOでの募集ページには「地方創生の一環として、水戸で納豆ご飯専門店をオープンさせます」「茨城県だけでなく、全国各地で行われている地方創生や地域活性化に挑戦している人たちにもエールを送ることができるのではないかなと思っています」といったメッセージがある。
とはいえ、1万円で生涯無料パスというリターンが得られるとなれば、支援して無料対象メニューだけを食べ続ける人が複数出るのは不思議ではないと思える。アンケートも先述のとおり質的・量的に少なくない負担が課される。CF募集時の説明は十分だったと考えているか。
「『無料で食べられる飲食店』と思って利用する方々がいることを考慮してプロジェクトを準備すべきだったと反省しています。CF募集ページにちゃんと説明を書くべきだったと思います」(宮下氏)