新型コロナウイルスの感染拡大が再び始まる恐れが指摘されている。「夜の街」感染が依然多く、東京・新宿はうち4割も占めると報じられた。
歌舞伎町をクローズアップする報道も多く、商店街から困惑の声も漏れている。多くの飲食店は、感染対策をきちんとして営業しているというのだ。
「一部に危ない店はありますが、いい店には大問題です」
「歌舞伎町とコロナを結びつけられて、皆さん迷惑していますよ」。こう話すのは、古くからの飲食店が加盟する新宿酒場飲食業組合のスタッフだ。
都内の感染者数は、10人台に再び増えたが、2020年6月2日には、34人にも達した。この日までの1週間の感染者114人のうち、休業要請が解除されていない接待を伴う飲食店の従業員など夜の街関係が約3割を占め、その約4割が新宿区内の感染者だった。
テレビなどでは、夜の歌舞伎町の映像を繰り返し流していたが、「報道にも迷惑しています」と前出のスタッフは話す。
「一部に危ない店はありますが、いい店には大問題です。感染対策をきちんとして店を開けたものの、また閉めないといけない。それで、困っているんですよ」
NHKの報道では、ホストクラブやガールズバーなどに関わる人が感染するケースが確認されたとしている。こうした一部の店と同じように見られることは、風評被害に当たるということのようだ。
感染対策などが不十分だった店もあるとみられることから、ネット上では、厳しい声も多い。「クラスター出したその接待飲食店の名前も出すべき」「こうした店には見せしめも必要だ。営業許可証取り上げろ」といった意見さえ聞かれた。
日本水商売協会「ちゃんとやっている店と分けるべき」
休業要請中のホストクラブなどで感染者が出たことについて、日本水商売協会の甲賀香織代表は6月4日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「今感染者が出ているのは、緊急事態宣言が出ている間も開けていた店がほとんどだと思います。開き直って対策もしなかったりして儲けていた店もあるのに、夜の街と一括りにすることに何の意味があるのかと疑問を持っています。ちゃんとやっている店と分けるべきではないでしょうか。都も見て見ぬふりをしていたので、感染者が出たんだと思いますね」
協会では、「接待飲食店におけるコロナウィルス対策ガイドライン」を作成したが、都の確認を取るのに時間がかかったという。ガイドラインでは、マスクや手洗いなどを徹底し、保健所には最大限協力することなどを定めている。
ホストクラブなどの今後について、甲賀代表は、こう言う。
「店を開くことを推奨しているわけではありませんが、開けざるをえない状況の店がほとんどだと思います。休業していたために毎月数千万円の損失を出す大赤字の店も多く、ホストの多くがコンビニより安い数百円の時給で働いています。いつ休業要請解除か分からないまま、何か月も休業できないと思いますよ。国の対応も遅いので、統制が効かなくなっています。しかし、開けるなら、せめて対策をしてもらいたいですね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)