新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、コンビニエンスストア業界は予想外の苦戦を強いられている。
外出自粛により、都心の店の売り上げが激減したことなどが要因だ。新しい生活様式が求められる「コロナ後」に向け、さまざまな戦略の見直しが迫られそうだ。
セブンとファミマ&ローソン、分かれた明暗
コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会が2020年5月下旬に発表した4月の売上高は、既存店ベースで前年同月比10.6%減の7781億円と2けたの落ち込みになった。冷凍食品やアルコール類などのまとめ買いが増え、1回の買い物に支払う「客単価」は9.5%増と伸びたものの、来店客数が18.4%減と大きく減少したことが響いた。
これと対照的だったのが、食品スーパーの好調ぶりだ。全国スーパーマーケット協会など食品スーパーの主要3団体が公表した4月の既存店売上高は10.7%増で、2010年4月の調査開始以来、最大の伸び率を記録した。
コンビニが苦戦した背景には、外出自粛やテレワークの拡大などで、都市部や繁華街から人がいなくなったことが大きい。利便性の高さに特色があるコンビニは都市部や繁華街などに店舗が多く、需要減の影響は大きかった。
4月の大手各社の既存店売上高は、セブン-イレブン・ジャパンが5.0%減にとどまったのに対し、ファミリーマートは14.8%減、ローソンは11.5%減と痛手が大きかった。その差が生じたのは、「セブンは住宅地の店舗が比較的充実していたため」(関係者)とされており、今後の課題も浮かび上がった。
また、コンビニはこれまで単身者対応を重視し、総菜などでも小量パックを増やすなどして、顧客の取り込みを図ってきた。実際、東京都の1世帯当たりの人数は2012年以降、2人を割り込んでおり、一人暮らしの高齢者や若者が増えている。これまで、コンビニは時代のニーズにうまく対応してきたといえる。