プロ野球の巨人は2020年6月3日、球団に所属する坂本勇人内野手(31)と大城卓三捕手(27)に新型コロナウイルスの陽性判定が出たことを発表した。
球団は坂本、大城がウイルスに感染したことを受け、6月3日に東京ドームで予定していた西武との練習試合を中止。公式戦開幕を6月19日に控えて現役選手にウイルス感染者が出たことで、球界に激震が走った。
プロ野球現役選手の感染確認は3月の阪神3選手以来
公式戦開幕へ向けて球界が動き出した矢先だった。セ・パ12球団は6月2日に各地で練習試合を開始。関東地域で4試合、関西地域で2試合が行われ、巨人は東京ドームで西武と対戦し7-9で敗れた。3日は同一カードが各地で組まれており、巨人-西武戦を除く5試合がそれぞれ行われた。
日本球界で現役選手によるウイルス感染が確認されたのは、3月末の阪神の3選手に続いてのケースとなる。阪神は2020年3月27日に、藤浪晋太郎投手(26)、伊藤隼太外野手(31)、長坂拳弥捕手(26)が新型コロナウイルスに感染したことを発表。以降、現役選手のウイルス感染者は確認されていなかった。
巨人は1軍から3軍の全選手(育成含む)をはじめとし、原辰徳監督、コーチ、スタッフら希望者218人に対して、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査を実施。坂本、大城に加え2名のスタッフに新型コロナウイルスの感染後に回復したことを示す「IgG抗体」が確認され、PCR検査の結果、坂本と大城に陽性判定が出た。
甲子園は7月7日からようやく試合が...
坂本、大城の両選手は入院しており、今後は管轄の保健所の指導に従いPCR検査を実施していく。2選手には抗体があり、感染から一定の時間がたっているとみられる。坂本、大城ともに2日に行われた西武との練習試合にスタメンで出場しており、連日のPCR検査で陰性が確認され次第、チームへの合流を目指している。
これまで日本野球機構(NPB)は新型コロナウイルス対策を慎重に推し進めてきた。3月3日にはJリーグと競技の垣根を超えて「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置。専門家の助言を受け、ウイルスの感染状況を踏まえた上で9日に公式戦開幕の延期を決定。5月25日に緊急事態宣言が全国的に解除されたことを受け、6月19日の公式戦開幕を決めた。
セ・リーグでは移動のリスクを軽減するため、開幕からしばらくは試合を関東圏に集約。6月19日の開幕3カードは、東京ドーム、神宮、横浜スタジアムと全て関東圏で開催される。6月26日からナゴヤドームで中日-広島3連戦、7月3日からマツダスタジアムで広島-阪神3連戦を予定しており、7月7日にようやく甲子園で試合が行われる。
「不安がないといえばウソになる」
プロ野球が練習試合を解禁した6月2日に東京都が「東京アラート」を初めて発動。ウイルスの感染者は4月中旬をピークに減少傾向にあるものの、ウイルス感染が再び拡大する「第2波」が懸念される。このような状況のなか、東京に本拠を置く巨人から2選手がウイルスに感染していたことが判明したことで、球界関係者から不安の声が上がっている。
在京の球団関係者は「あれだけ厳しく選手を管理していた巨人でウイルス感染者が出たことはショックです。セ・リーグは関東を中心に開幕から試合が続くので、不安がないといえばウソになる。東京もこのような状況ですから。これから他のチームで感染者が出た場合、開幕できるのか。不安ですね」と語った。