白人警官が黒人男性の首を圧迫して死亡させた問題で、全米に抗議活動が広がる中、「BLM」と呼ばれる運動が存在感を増している。「Black Lives Matter=黒人の命も大切だ」の意だ。
BLMは2012年、フロリダ州で黒人の高校生がヒスパニック系の自警団員に射殺されたことを機に始まった運動。14年にも、ニューヨークやミズーリ州で黒人が白人警官による「絞め技」や発砲で死亡する事案が発生し、その抗議活動で認知度が高まった。今回の抗議活動は黒人差別に対する反発に端を発しており、著名企業からも賛同の声が相次いでいる。
「黒人が経験している暴力と人種差別に沈黙することは、それに加担することだ」
ツイッター社は、公式アカウントのプロフィールに「#BlackLivesMatter」とのみ表示。ロゴや、背景の画像の色も黒に差し替えた。ソニーの米国法人も6月1日、「#BlackLivesMatter」のタグ付きでツイート。黒地の白の画像で、
「黒人が経験している暴力と人種差別に沈黙することは、それに加担することだ」
と、黒人社会への連帯を表明。マークジェイコブスやヴァレンティノといったファッションブランドも、6月1日、「#BlackLivesMatter」のタグをつけてインスタグラムに投稿、差別反対を訴えた。
ナイキは5月30日、「BLM」という直接的な表現はないものの、黒字に白文字で、
「米国に問題がないふりをしてはならない。人種差別主義に背を向けてはならない。罪のない命が奪われていることを受け入れてはならない。これ以上の言い訳をしてはならない」
などと訴える動画をツイッターやインスタグラムに掲載。アディダスがその書き込みを引用して、「協力することが前進する方法だ。協力することが変化をもたらす方法だ」と書き込んだ。
「BLM」名乗って抗議活動分断の企ても...
一方で、BLMへの批判として「All Lives Matter=全ての人々の命が大切だ」と主張する動きもある。ただ、こういった主張は、長年にわたる黒人差別の歴史を踏まえていないとの反論もある。こういった主張を展開した企業のひとつがソニーで、「#AllLivesMatter」のタグ付きの反論に対して、
「黒人の命が大切にされるまでは、全ての命は大切にされない」
と返信。「黙れ」の声には「No」と応じた。
ただ、一部では「BLM」を名乗って抗議活動を分断しようとするかのような動きもある。5月31日には、全身を黒で覆っているものの、目の部分から白人だとみられる人々が、スターバックスの店舗にスプレーで「BLM」で落書きしている動画が拡散。動画では、黒人女性が白人に対して「そんなことは望んでいない!」と訴えている。著名ブロガーのペレス・ヒルトン氏は、この動画を拡散しながら「非黒人は、こんなことをやめろ!」と憤った。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)