緊急事態宣言の終了を受け、ドラマの撮影再開が相次いでいる。2020年4月期は新型コロナウイルスの流行により多くのドラマが撮影中止となっていたが、これを機に、徐々にではあるが正常化が進みそうだ。
そんな中、放送休止中の打開策で一際注目を集めているのが、歌手の浜崎あゆみさん(41)の自伝的小説を基にした「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)だ。
同作は毎週土曜日が放送日で、5月2日までは新作を放送してきたものの、翌週の9日は撮影が追い付いていないとして第1話に副音声を付けた上で再放送を行ったが、これが好評を博した。
「ひとりで観たいけどひとりではとても耐えられんのよ」
再放送の副音声では、社会学者の古市憲寿さん(35)とタレントの伊集院光さん(52)が登場。古市さんは以前からメディアでたびたび浜崎さんのファンであることを公表していたほか、伊集院さんは雑誌のインタビューでサンミュージック時代の浜崎さんをゲストとして招いた経験があったため、副音声における2人の解説は実に的確なものであったほか、時に、その内容にツッコみつつ行う解説には、視聴者から、
「ボロクソ言われてたけどコントとしてみればめっちゃ面白い! でも真面目に見てたら王道中の王道でお約束だらけだからこうやってツイートしないと恥ずかしい」
「毎週誰かの副音声ほしい。ひとりで観たいけどひとりではとても耐えられんのよ」
といった絶賛が続々。「千鳥」のノブさん(40)も「頼むから副音声でツッコませてくれ!」と、「テレビ千鳥」(同局系)で、副音声への出演を希望するなど、芸能人からも好評の声が上がり、さらなる話題を呼んだ。
なお、「M 愛すべき人がいて」は6月13日から新作の放送が再開されるが、その一方で、6日は第3話が副音声付きで再放送されることが5月31日に発表されたばかり。第3話には古市さんと伊集院さんに加え、「ナイツ」の塙宣之さん(42)も加わるということで、副音声はさらに賑やかなものとなりそうだ。なお、第3話の副音声付き再放送には、発表直後から「副音声またやるのか! 楽しみー」といった声がツイッター上を中心に上がるなど、視聴者からの反響は上々であり、これらのことから、第1話の副音声付き再放送の好評ぶりが、テレビ朝日側にも伝わっているということが推測される。
視聴者の声もまた「副音声」なのか?
これら、話題が尽きない副音声付き再放送だが、ドラマをめぐっては4月18日の放送開始時から、出演者のオーバーリアクションなどに対し、「ツッコミどころが大渋滞」といった視聴者からの「ツッコミ」がネット上を席巻。
このため、同ドラマに対しては「ツッコミながら見るべし」といったテーマの論評記事が散見されるなどしたが、これらの動きを見た上でふと考えてみると、同ドラマに対して上がるネット上の声もまた、古市さんと伊集院さんのものと同様に「ドラマの副音声」なのではないだろうか。
そう考えると、「M 愛すべき人がいて」は、ドラマという「作品」に対して視聴者が思い思いの「副音声」を付けることで作品の面白さがさらに増幅されるという、新しい楽しみ方が出来るドラマということになるのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)