再処理工場「合格」したが... 核燃料サイクルの見通し、立たないまま

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「MOX燃料」を原発で再利用

   そもそも、再処理工場を作る大前提である核燃サイクルの見通しが立っていない。この政策の目的は、原発から出る使用済み燃料を再処理し、ウランとプルトニウムを取り出して再利用することで資源を有効利用するもの。再利用は「高速増殖炉」と「プルサーマル発電」の二本立てだった。

   このうち高速増殖炉は発電しながら消費した以上の燃料を生成できる夢の原子炉だが、福井県に建設した原型炉「もんじゅ」がトラブル続きで2016年に廃炉が決まり、とん挫している。

   残るプルサーマルは、ウランとプルトニウムを混ぜた「MOX燃料」を原発で再利用する。ウランだけを使うのでは、資源小国の日本として燃料確保が不安だとして、核燃サイクルを打ち出した経緯があり、これまで英仏など海外に頼んで再処理してもらってきたが、やっと自前でMOX燃料を作れるようになるというわけだ。

   ここで問題になるのがプルトニウムだ。核兵器の材料となるため、国際的に厳しく管理されていて、日本は「平和利用」を前提に日米原子力協定で保有を認められていて、2018年時点で45.7トンを国内外で保有する。この量は原爆6000発分に相当するとされ、核不拡散の観点から国際的に問題視され、日米原子力協定の延長(2018年)の際、日本はプルトニウム保有量の削減方針を示さざるをえなかった。

   そこで、原発でMOXを使い、順調にプルトニウムを削減していけるかがポイントになるが、まず、再処理工場が稼働すれば、最大で年800トンの使用済み燃料を処理し、回収できるプルトニウムは約7トン。現在、各原発や再処理工場に保管されている使用済み燃料は1.9万トンに達し、24年かけて処理を終える計算。もちろん、今後の再稼働を含む原発からの新たな使用済み燃料がこれに加わる。

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