米ミネソタ州のミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を圧迫して死亡させた問題をめぐり、全米に抗議活動が広がっている。この抗議活動に対するトランプ大統領のツイートも強硬姿勢を加速させている。
「略奪が始まれば銃撃が始まる」というツイートが、ツイッター社のガイドラインに反しているとして自動的には表示されないようにされたばかりのトランプ氏だが、「ANTIFA(アンティファ)」と呼ばれる極左組織について「テロ組織に指定する」と表明。暴動を主導しているとみられる勢力の鎮圧に躍起だが、この「テロ組織指定」には異論も出ている。
「略奪が始まれば銃撃が始まる」が「暴力賛美」と認定される
一部の地域ではデモ隊が暴徒化して放火や略奪が起きており、トランプ氏は2020年5月29日(日本時間)、
「先ほど(ミネソタ州の)ティム・ワルツ知事と話し、軍は(知事と)常にともにある、と伝えた。どんな困難でも我々はコントロールするが、略奪が始まれば銃撃が始まる」
などとツイート。暴徒化すれば厳しい姿勢で臨む姿勢を示した。
ツイッター社は、この内容が自動的には表示されない措置をとっており、日本語版のツイッターでは、その理由を
「このツイートは、暴力の賛美についてのTwitterルールに違反しています。ただし、Twitterではこのツイートに公共性があると判断したため、引き続き表示できます」
と説明している。
今回非難の対象になった「アンティファ」は「アンチファシスト」、つまり「ファシストに反対する勢力」の意。その名前が知られるようになったのは17年頃だ。バージニア州シャーロッツビルにあった南北戦争時の南軍指導者、ロバート・E・リー将軍の銅像の撤去を17年8月に市当局が決めた際、白人至上主義を掲げるKKK(クー・クラックス・クラン)やネオナチらといった極右勢力が抗議活動を展開。この極右団体と「アンティファ」を名乗る人々が衝突して死亡者が出た。
「アンティファ」を名乗る人々は黒いマスクや服装が特徴で、国際会合の会場周辺などで警官隊を襲撃したり、車両や商店を焼き打ちしたりするなどを繰り返しており、「極左集団」だという認識が広がっていた。