プロ野球の公式戦開幕が2020年6月19日に決まった。レギュラーシーズンは143試合から120試合に縮小して行われる見込みで、日本シリーズは11月21日に開幕する。
当初の3月20日開幕から遅れること約3カ月。今シーズンはどのような展開となるのか。J-CASTニュース編集部は、横浜ベイスターズで投手として活躍し、横浜の投手コーチを務めた齊藤明雄氏(65)を取材し、今シーズンのセ・リーグ序盤戦を占ってもらった。
「野手は3カ月、生きた球を打っていない」
6月19日の公式戦開幕にあたり、6月2日から練習試合が行われる。公式戦は当面、無観客で開催され、セ・リーグは移動リスクを減らすため開幕から関東を中心に日程を組むとみられる。当初の予定から約3カ月開幕が後ろ倒しとなったことで、選手らにどのような影響を及ぼすのか。齊藤氏は次のように語った。
「野手は3カ月、生きた球を打っていない。これは大きいと思います。投手も実践のマウンドを踏んでいませんが、投手よりも野手の方が影響はあるでしょう。キャンプ、オープン戦と段階を踏んでも春先は『投高打低』の傾向にあり、今シーズンは開幕からしばらくこの傾向がさらに強まるのではと予想します」(齊藤氏)
ペナントレースの行方を大きく左右する開幕ダッシュ。齊藤氏は、上記の理由から序盤戦は投手力が整ったチームが優位に立つと予想する。セ・リーグで最も投手陣が充実しているチームはどこなのか。
「投手力からいえば横浜でしょう。先発陣はエース今永(昇太)投手、上茶谷(大河)投手を中心に右、左とも3枚ずつ揃っていますし、中継ぎ、抑えがしっかりしている。投手陣は12球団でもトップクラスだと思います。横浜の次にくるのが中日だと思います。中日の投手陣は枚数もあり、充実しています。ただ、横浜と比較すると横浜の方が投手力は上回っているでしょう」(齊藤氏)
「トップバッターの役割は非常に大きい」
齊藤氏は今シーズン、DeNAの躍進を予想する。そのなかでDeNAが抱える「外国人枠」問題を指摘。外国人枠を巡り、野手ではホセ・ロペス内野手、ネフタリ・ソト内野手、タイラー・オースティン外野手。投手ではスペンサー・パットン投手、エドウイン・エスコバー投手、マイケル・ピープルズ投手が外国人枠を争う。
「横浜は外国人枠をどうするか大きな課題だと思います。おそらく野手の3人は外さないと思いますので、そうなると投手陣は1つの枠を巡る争いになります。パットンは安定感でいえばエスコバーを上回ります。ただエスコバーの昨年の活躍をみれば分かる通り、中継ぎとして欠かせない存在です。ピープルズは先発として考えているでしょうから、外国人枠を巡る投手陣の起用法は難しくなるでしょう」(齊藤氏)
このような状況を踏まえ、齊藤氏は開幕スタメンを次のように予想した。
先頭打者は中堅・神里和毅で2番は右翼オースティン。クリーンナップは、3番に2塁ソト、4番は左翼・佐野恵太、5番は3塁・宮崎敏郎。そして6番に1塁ロペス、7番は捕手・伊藤光、8番に投手を起用した場合はエース今永、9番に遊撃・大和。
「トップバッターは梶谷(隆幸)選手も候補に挙がると思います。神里選手は1番に定着するには三振を減らし、四球を増やして出塁率を上げること。そして淡泊なものでなく、粘り強いバッティングをすることが大切です。横浜は2番以降、強力な打線となりますので、トップバッターの役割は非常に大きいでしょう。ラミレス監督がどの選手をトップバッターに起用するのか。その人選も注目のひとつです」(齊藤氏)