スマホ決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」で、JR東日本の電子マネー「Suica」の機能が使えるサービスが始まった。
キャッシュレス決済の「ペイ戦争」とも呼べる、キャンペーン合戦が一段落した昨今、新たなタッグは風穴を開けるだろうか。
楽天カードでポイントが付く
「おさいふケータイ」搭載のAndroid端末では2020年5月25日から、「楽天ペイ」アプリでのSuicaの発行・チャージに対応し、鉄道やバス、加盟店で電子マネー利用が可能になった。クレジットカード「楽天カード」を支払い元に設定すると、0.5%(200円につき1ポイント)が付与される。
また、iPhoneやApple Watchの一部端末でも、モバイルSuicaアプリとApple Payでの楽天カードチャージで、Android同様の還元率が得られるようになった。ただ、こちらはあくまでキャンペーンで、毎月のエントリーが必要となる。いまのところ終了日は示されていないが、現時点ではAndroidのように恒久的なものではない。
楽天カードは1900万人以上の会員(20年1月)を抱え、1か月あたりのカードショッピング取扱高が1兆円を超える(19年12月)。シェアの大きなカードでSuicaチャージのポイントがたまるとあって、ツイッターでは「楽天ポイントが貯まるのは嬉しい」「これを待ってたんですよ」といった反応もある。
ポイントチャージで「楽天経済圏」を拡大
とはいえ、ポイント還元率からみると、0.5%は優位性に欠ける。JR東日本の「ビューカード」では、Suicaチャージで1.5%なので、多用する人はそちらの方が向いているだろう。楽天カードでのショッピング利用では1.0%が還元されるが、これに合わせなかった理由には、自社系列の電子マネー「楽天Edy」の存在が考えられる。楽天カードでのチャージは、200円ごとに1ポイントと、今回の楽天×Suicaと同様の付与率だ。自社の電子マネーがありながら、Suicaを優遇するわけにはいかない。
代わりにアピールポイントとなりそうなのは、今後予定される「楽天ポイントからSuicaへのチャージ」だ。もし楽天Edyと同様に1ポイント=1円のレートで交換できれば、楽天カードで貯めたポイントをお店によって、楽天EdyとSuica、楽天ペイで等価に使い分けられるようになり、利便性はかなり向上する。乱立するキャッシュレス決済の中心に、楽天ポイントを置くことで、より多くの人を「楽天経済圏」に巻き込めるようになる。
楽天とJR東日本の協業は、19年6月に発表されていた。約1年の準備期間をもって、満を持しての登場となったが、当初の発表ではポイントチャージに触れられていなかった。「隠し玉」とも言える交換サービスが始まって初めて、「赤いSuica」の真価がわかってくるだろう。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)