ポイントチャージで「楽天経済圏」を拡大
とはいえ、ポイント還元率からみると、0.5%は優位性に欠ける。JR東日本の「ビューカード」では、Suicaチャージで1.5%なので、多用する人はそちらの方が向いているだろう。楽天カードでのショッピング利用では1.0%が還元されるが、これに合わせなかった理由には、自社系列の電子マネー「楽天Edy」の存在が考えられる。楽天カードでのチャージは、200円ごとに1ポイントと、今回の楽天×Suicaと同様の付与率だ。自社の電子マネーがありながら、Suicaを優遇するわけにはいかない。
代わりにアピールポイントとなりそうなのは、今後予定される「楽天ポイントからSuicaへのチャージ」だ。もし楽天Edyと同様に1ポイント=1円のレートで交換できれば、楽天カードで貯めたポイントをお店によって、楽天EdyとSuica、楽天ペイで等価に使い分けられるようになり、利便性はかなり向上する。乱立するキャッシュレス決済の中心に、楽天ポイントを置くことで、より多くの人を「楽天経済圏」に巻き込めるようになる。
楽天とJR東日本の協業は、19年6月に発表されていた。約1年の準備期間をもって、満を持しての登場となったが、当初の発表ではポイントチャージに触れられていなかった。「隠し玉」とも言える交換サービスが始まって初めて、「赤いSuica」の真価がわかってくるだろう。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)