「初の首位交代」の話題を吹き飛ばす
2行に続くみずほFGは、新システムなどで6800億円の巨額減損を計上した2019年3月期からは純利益は大幅増益になったものの、額は4485億円にとどまる。ただ、新システム全面移行(19年)によりコスト削減が進み、20年3月期の経費削減額は580億円程度との見通しから890億円まで上振れしたのが明るい材料といえる。
史上初の首位交代は、平時であればもっと注目されたはずだが、これを吹き飛ばしたのが新型コロナウイルスだ。各グループの決算発表の会見でも、ほとんどの質問が新型コロナに集中した。
2021年3月期は融資先の倒産が増えるのに備え、各行とも手厚く貸倒引当金を積んだのがまず目立つ。三菱UFJは4500億円の与信費用を見込んでおり、そのうちの約2000億円がコロナの影響。三井住友は同様に4500億円程度、うちコロナによる影響は2600億円程度としている。みずほも2000億円程度と見込む与信費用の全額が新型コロナの影響。みずほも与信費用2000億円を見込んでいる。
このほか、世界的な利下げに伴う金利収入の減少、感染拡大防止のための営業活動自粛も減益要因になる。新型コロナによる減益額は、三菱UFJが6000億円、三井住友が3100億円、みずほは800億円と見込んでいる。この結果、同期の純利益は、三菱UFJが5500億円(前期比4%増)と前期の減損による落ち込みの反動で微増を見込むほかは、三井住友が4000億円(同43%減)、みずほは3200億円(同29%減)と大幅減益を予想している。
ただし、この予想とて、3メガバンクともに、2021年3月期の上期に感染拡大が衰退し、徐々に経済活動が再開されるという前提を置いてのもの。秋以降、感染拡大の第2波、第3波の襲来も懸念され、経済状況が厳しさを増せば、取引先への一段の資金支援が求められ、貸し倒れリスクも高まる可能性がある。