KDDI傘下の格安スマホブランド「UQ mobile」の新料金プランが注目を浴びている。
ライバルであるソフトバンクや、今春サービス開始した楽天モバイルへの対抗プランを見ると、KDDIの「本気」が伝わってくる。
1年後を見越した「対抗プラン」か
UQ mobileは2020年6月1日から、月2980円(以下、税抜)の「スマホプランR」を提供する。月々のデータ容量は10GBで、超過・節約モード時でも最大1Mbpsで使えるのが特徴だ。これまでのプランでは、超過・節約モードが最大300kbpsだったため、単純計算で3倍の速度になる。
新プランが発表されると、インターネット上では、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」を意識しているのではとの指摘が相次いだ。こちらは2980円で、自社回線エリアは無制限。KDDI回線を利用する「パートナー回線エリア」では、速度制限なしで月5GB、超過後は最大1Mbpsで使える。現状では自社エリアが大都市圏などに限られ、多くの地域ではパートナーエリアとなるため、同じ料金でもより容量の多いUQ mobileの方がメリットを受けられる。ただ楽天は現在、300万人を対象に「UN-LIMIT」の1年間無料キャンペーンを行っているため、それが終わる1年後を見越しての「対抗プラン」と思われる。
新プラン発表に先駆けて、KDDIは5月14日、子会社のUQコミュニケーションズ(以下、UQ社)が運営する通信事業「UQ mobile」を10月1日に承継すると発表した。UQ社は「UQ WiMAX」も手がけるが、こちらはKDDIには移行されない。
KDDIはauとの「二刀流」に
ひとつのキャリア(通信事業者)が、価格帯をわけて複数ブランド展開するスタイルは、ソフトバンクの「ワイモバイル(Y!mobile)」が先行している。これまでもUQ社はKDDIが32.26%を出資する連結子会社だったが、同一企業による運営となれば、よりワイモバイルと境遇が近くなる。
同価格帯のワイモバイル「スマホベーシックプランS」(2680円)は月3GB(超過時最大128kbps)。音声通話が1回あたり10分間無料(UQ mobileでは700円のオプション)といった長所はあるが、スマホプランRよりは見劣りする。
これらの事情を受けて、UQ新プランには「楽天つぶし」「ワイモバイルつぶし」ではないか、との指摘が相次いだ。4か月後の事業承継を考えると、単に対抗するのではなく、KDDIが格安SIMに参入する「本気度」を示しているとも取れる。直営となる今秋以降、auとの二刀流で、より攻勢をかける可能性も高そうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)