「ニュートラルシナリオ」と「ワーストシナリオ」
さらに、テレワークの拡大や外出自粛が化粧品需要にも影響している。総務省が発表した3月の家計調査(消費支出)によると、前年同月比の実質増減率で乳液は28.6%減、口紅が22%減と、ただごとではない落ち込みだ。半面、手洗い需要を取り込んだ浴用・洗顔石けんは15%増だった。
こうした状況のもとで資生堂は「経済活動の再開タイミングなど不確定要素が多い」として2月に発表した2020年12月期の通期業績予想(売上高が前期比7.8%増、純利益は5.4%増など)を取り下げ、再精査のうえ8月の中間決算発表時に改めて公表するとした。配当予想も同様に取り下げた。
さらに資生堂は今後、「ニュートラルシナリオ」で2021年、「ワーストシナリオ」で2023年にコロナの影響から回復するとの2つのシナリオを想定し、コスト削減などを徹底し構造改革するとしている。ただ、「海外旅行や外出の機会減少、マスク着用が常態化するなか化粧品購買行動が中期的に変化する可能性が高く、世界で勝つための経営の舵取りは難しい局面が続く」(SMBC日興証券)との指摘も出ている。