野党統一候補のあり方が課題になっている東京都知事選(2020年6月18日告示、7月5日投開票)をめぐり、民進党代表などを歴任した野党統一会派の岡田克也衆院議員(66)が2020年5月28日、国会内で記者団について見解を述べた。
16年の都知事選では、当時岡田氏が代表を務めていた旧民進党を中心に、野党統一候補として鳥越俊太郎氏(80)を擁立したが、惨敗した経緯がある。16年に出馬を断念した元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(73)は、すでに今回の都知事選に出馬表明している。
「宇都宮さんの話は難しい、コメントするのはね」
野党としては、宇都宮氏の支援に回るか、別に野党統一候補を立てるかが焦点となる。岡田氏は、鳥越氏については「いい候補者だった」とする一方で、宇都宮氏の出馬については「コメントいたしません」。小池百合子知事(67)の対抗馬を擁立する必要性について「原則はそうだが、現実は色々あることは分かっているので、それ以上のことは言いません」とも。このまま野党が候補者を立てられず「不戦敗」になる可能性もにじませた。
16年の都知事選では、民進党の都連は元経産官僚で政治評論家の古賀茂明氏(64)に出馬要請したが、岡田氏ら党首脳がそれを抑えて鳥越氏を告示日間際に擁立。この影響を受けて、すでに立候補表明していた宇都宮氏は、「野党統一候補」の鳥越氏に譲る形で告示日の前日に出馬を断念した。
宇都宮氏は20年5月27日の記者会見で、当時の経緯について
「選対のメンバーとも話して、苦渋の決断をしたことがあるが、今回はそういうことはしてはならないと思っている」
などと話し、仮に宇都宮氏以外の人物が野党統一候補として擁立されたとしても、出馬断念はないことを強調した。
岡田氏は、宇都宮氏の出馬表明への見解を求められると、「宇都宮さんの話は難しい、コメントするのはね。要するに自ら立候補されるときに、それがいいとか悪いとか言う立場に僕はないので...。それはコメントいたしません」。野党として小池氏への対立候補は必要だとする一方で、
「4年前も私は相当苦労したので、各党の執行部の皆さんのご苦労も大変だな、と思って、それについては、あんまりコメントしない方がいいだろうと思います」
と話すにとどめた。
対立候補の擁立の必要性について改めて確認されると、
「原則はそうだが、現実は色々あることは分かっているので、それ以上のことは言いません」
とした。
「一定の時点までは1番手だった」
16年に宇都宮氏や古賀氏ではなく、鳥越氏を野党統一候補として擁立したことの是非については
「鳥越さんはいい候補者だったし、現実に一定の時点までは1番手だった。しかし、過去のことについての、それまで取り上げられなかったようなことが、いきなり週刊誌に取り上げられて、それが非常に影響になった。非常に残念だと思っています」
などと話し、候補者選定のあり方よりも、週刊誌報道の方が問題として大きかったとの見方を示した。
鳥越氏をめぐっては、都知事選期間中に週刊文春と週刊新潮が過去の女性スキャンダルについて報道。鳥越氏は、虚偽の記事を掲載されて公正な選挙を妨害されたとして、名誉毀損(きそん)と公職選挙法違反(虚偽事項の公表)の疑いで刑事告訴したが、東京地検は不起訴処分にしている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)