賭け麻雀問題で辞任した東京高検の黒川弘務前検事長が賭博罪に問われていないことへの皮肉として、検察庁前の路上でテンピン(1000点100円)の賭け麻雀大会「黒川杯」を実施する、という告知が話題になっている。
大会の開催はジョークなのか、はたまた本気なのか。J-CASTニュースは大会の発案者を直撃した。
広がる「テンピンはセーフ」理論
黒川氏は20年5月1日と13日に産経新聞の記者2人、元記者の朝日新聞社員と「賭け麻雀」をしていたと5月20日に文春オンライン(週刊文春・21日発売号)で報じられた。黒川氏は事実を認め検事長の職を辞したが、政府の処分は国家公務員法の「懲戒処分」ではなく、行いを注意する「訓告」にとどまった。
賭け麻雀は刑法上の賭博罪に問われる可能性があるが、黒川氏は逮捕も起訴もされていない。法務省の川原隆司刑事局長は22日の衆院法務委員会で、黒川氏がテンピンで賭け麻雀を行っていたと明かしたが、その上で「必ずしも高額と言えないレート」であると判断し、訓告の処分にとどめたとしている。
黒川氏をめぐる一連の動きを受け、インターネット上の麻雀好きの間では「テンピンならセーフだと国が認めた」という認識が広がり、新たに「黒川基準」なる言葉も誕生した。
そんな中、イベント告知サイト「TwiPla」に投稿されたイベント情報が注目された。検察庁前でテンピンの賭け麻雀を行う大会、その名も「黒川杯」だ。
大会の開催背景について、以下のように説明されている。
「法務省刑事局の公式見解によると、テンピン麻雀は問題ないらしいので『黒川基準』によるレート麻雀解禁を祝してテンピン麻雀大会を公然と実施することになりました。場所は新基準の礎を築いてくれた黒川元検事長に敬意を表して検察庁前の路上となる予定です」
参加費は無料で、「時局柄」マスクの着用も呼びかけている。また、開催前に黒川氏が賭博容疑で逮捕ないし起訴等された場合は「自らの浅薄さを深く恥じ入り本大会は中止とします」としている。
参加者は「旧知の間柄のような気がした人」
黒川氏をめぐる問題が連日注目される中、開催告知はツイッター上で「ナイスな風刺」「めっちゃ皮肉効いてて笑った」などと話題を呼んだ。また、ツイッターでの盛り上がりの様子を取り上げたスポーツ紙の記事や、大会の開催が犯罪にあたるのかを分析する記事も登場した。
J-CASTニュースは27日、大会発案者の自稱家元(@zisyo_no_)さんにツイッターのDMを通じて話を聞くことができた。大会発案のきっかけを聞くと、
「旧知の間柄の知人が検察庁前でテンピン麻雀打ちたくない?と言つたことが発端となり例の告知ページが立ち上がりました」(以下、原文ママ)
と語る。大会の告知が話題になったことには「正直驚いてをります」。
定員は4人だが、取材日時点では30人程度のエントリーが集まっているという。参加者の選別については、黒川氏が仲のいい新聞関係者と集まっていたことにならい「"旧知の間柄のような気がした人"に個別に声をかけてゐます」とのことだ。
賭博罪以前に、路上での開催は道路交通法に引っかかるのではないかという指摘もあるが、「別件で中止、逮捕されるのでは流石に興醒めなので、勿論対策は考へてをります」。
大会の開催は様々なリスクを抱える。それでも「当然緊張感は持つてをりますが、恐怖心とはまた違つたものなのかなと思つてゐます」と話す。大会の開催日は、開催当日に告知する予定だという。
インターネット上では告知を「ネタ」扱いする向きもある。念のため、最後に聞くことにした。大会の開催はジョークなのか、本気なのか----。
「告知ページを見た人それぞれの判断にお任せします」