「枠組み自体を作り替える必要がある」
IT法務に詳しい山口貴士弁護士はJ-CASTニュースの取材に、発信者情報開示請求の見直しには、「現行法は開示するかどうかの判断権を法律専門家集団ではないプロバイダやSNSに委ねているが、この枠組み自体を作り替える必要がある」と指摘する。
その理由を「プロバイダには開示拒否に対するペナルティーはないが、不当開示に対する制裁は損害賠償だけではなく、刑事罰まである。これでは、プロバイダは自分の責任を免れるために少しでも迷えば開示しないという判断になるのは当然ではないか」と説明する。
「具体的には、プロバイダを当事者にするのではなく、当該表現が発信者情報開示請求の要件を満たすことを裁判官または独立行政委員会の前で疎明すれば、プロバイダ相手に発信者を特定するに資する情報を開示するよう命じる決定を得られるようにすればいい。刑事事件の令状に近い発想だ」
開示のハードルを下げることで濫用の懸念もある。山口氏は「どのような表現について開示を認めたのか、一定の回数以上、発信者情報開示請求をした請求数が多い法人や個人を公開する制度を作れば、濫用対策になると思う」と話した。
署名サイトでは、「削除等の要請に応じず被害者の不利益を拡大するプロバイダには、刑事罰を下す』との動きがある。この点を問うと「プロバイダに判断を任せると、疑わしいものは消せとなってしまい、プロバイダによる検閲が横行し、自由なインターネットは死ぬと思う」との見解だ。
5月27日追記:コメント部分を一部変更しました
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)